暗誦を勧めていると、尋ねられる代表的な質問が、
「でも、相手が同じ表現で返してくる可能性は薄いじゃないですか」
確かにその通り。
いくら会話を覚えても、テキストに載っている会話があいさつのような、決まり文句のやり取り以外で繰り返される可能性はほとんどありません。
この間も、「相手がお休みしている、という状況の会話を覚えて電話したら、その人が出てしまいました」って、それはそうでしょう。
だからといって、会話を覚えるのが無意味、ということは決してありません。
一番大切なことは、いちいち意味を考えなくても、音を聞いただけで内容が取れる文が増えること。
英語を話していて、一番大変なのは、相手の発言の意味を理解してから、それに対応するメッセージを考え、文法的に正しい文を組み立てなくてはならないこと。
でも、たくさん英語のストックがあれば、理解も速いし、反応もいちいち英語から日本語、日本語から英語の転換をくりかえさなくても対応できます。
実は、このために英語の勉強をしているのですね。
反応を訳すプロセスをなくして簡略化する。
これができると、訳をする場合にも英文丸ごとで対応でき、内容の全体像をつかむことができます。
これにより、文中にわからない単語や表現があっても、流れをつかんで意味をとるという作業が容易にできるようになるのです。