天才はうらやましいか

本当に天才としか呼べない人たちがいます。わたしが高校で教えていたころ、Aくんがいました。かれは、英語の授業中に、物理の本を広げていました。普通だったら注意するのですが、彼の場合には特殊事情がありました。この時もそうです。訳読の作業が一段落したとき、突然、手を上げて、「先生、質問があります」といいます。それからおもむろに机の上に重ねられていた物理の本をどけ、ノートを持ち上げると、その下にあった英語の…

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笠井奈津子「甘いものは脳に悪い」(幻冬舎新書)

「やせるためには野菜を食べよう!」という考えは神話!今までに思っていた、食の常識が塗り替えられます。洋食よりも和食がいい!これは、折にふれ、料理番組や、健康番組で言われていることです。いわく、栄養のバランスが取れている。いわく、肉よりも魚の方がからだに良い。いわく、・・・笠井さんのこの本には、今までに知らなかった、まったく新しい知識が載っているわけではありません。ただ、なぜいけないのか、がわかりや…

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「ギラギラ☆落語ボーイ」三遊亭白鳥

落語小説。と書いても何のことやらわからないかもしれません。いうなれば、落語版「巨人の星」パロディー、といえば通じる人には通じるかもしれません。二つ目になったばかりのピョン太という落語家。受けない。仕事がない。金がない。三拍子そろって、それでも、おれはプロの落語家だ、というプライドはある。うまくなくても、自信とプライドはあるから、結構な大ネタを寄席でやる。あげくに、自己満足の落語をやってんじゃない!…

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「つながる読書術」からのネットワーク

教員だった頃、「月曜会」という英語の会を作りました。はじめは名古屋南高校の数人の教員が集まって、タイムの記事を読んだり、英検の問題を解いたり、ディスカッションしたりの勉強会でした。アルク(English Journalの出版元)の会員用機関誌に取り上げられたり、2-3の雑誌に載せていただいたりして、徐々に知名度も上がりました。レギュラーで参加してくださる方も少しずつ増えました。教員をやめて、自営業…

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日垣隆「つながる読書術」

日垣さんのメルマガ「ガッキーファイター」のファンで、できるだけ新しく出された本にも目を通すようにしています。日垣さんのすごさは、あるものの基準を、数値化して出してくれることです。たとえば、この本では「本の読み方」として、一冊を三時間で読む方法として、「3つのポイントを抽出する」ことを挙げています。1、「おもしろい!」と思う箇所を10ヶ所2、「人と話し合いたい」あるいは「自分で考えたい」というテーマ…

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泡坂妻夫「奇術探偵曽我佳城全集」結び方のコミュニケーション

わたしが学生だった頃、「幻影城」という雑誌がありました。江戸川乱歩にも、推理小説の評論集として同名のものがありますが、これはおそらくそれからとったタイトルだったと思います。島崎博というもともと台湾の方が、書誌家としての膨大なコレクションを背景に、昭和初期の「探偵小説」を採録していた、エラリークィーン・ミステリマガジンのような雑誌でした。この「幻影城」が、創刊2年目ころに新人賞をはじめ、その受賞者の…

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花田深「妻は多重人格者」

恐ろしい話です。ある日、ご主人である著者とは関係なく会社を経営していた妻の借金を返済するように、という督促の電話が次々かかってきます。身に覚えのないことなので、花田さんは、対応に困ります。相手は、サラ金らしく、暴力団のような脅しをかけてくるものもあり、まともな業者ではなさそうです。妻に聞いても、らちが明かず、とりあえず、手持ちのお金で、払える分を払っていくのです。本来ならば、まずは銀行、つぎにまと…

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好井裕明「差別原論」

「差別はいけない」「差別することは許されてはいけない」これは、だれでも認めることです。だからといって、差別がなくなるわけではありません。わたし自身、ニューズウィークや、ヘラルド・トリビューンなどで、日本にある差別についての記事が出ていたときには、積極的に取り上げてきました。そして、その解説をしていく中で、差別に関する書物も何冊か読みました。この本の中で、ある女性が、「差別があることを認めなければ、…

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「一目惚れ」の不思議

竹内一郎さん、ペンネームを「さいふうめい」という方がいます。非言語コミュニケーションの専門家であって、またペンネームで「哲也 雀聖と呼ばれた男」というコミックの原作者でもあります。この方の書かれた『「見た目」で選ばれる人』という本を最近読みました。専門の「非言語コミュニケーション」について分かりやすく書かれてある著書なのですが、その中にとってもおもしろい項目がありました。一目惚れについてです。アメ…

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音読で大きく伸びた話

エブリに毎週通ってくださっている中学生の方がいらっしゃいます。現在、中学3年なのですが、1年のころから来ていただいています。彼女には、入会していただいてすぐに、安田一郎さんの「英語の文型と文法」という会話形式の文法の基礎の本を覚えていただきました。これは、レベル的には中学1年生の復習と、2年生の内容を含んだものでした。暗誦、という方法があっていたようで、毎回のレッスンを録音して、その次の週には、も…

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