舟を編む

三浦しをんさんの小説です。国語辞典を編纂する出版社のスタッフの物語です。物事を作り上げていくということは、とてもエキサイティングな体験だと思います。ここでは、言葉に対するこだわり(良い意味での「こだわり」というのは正用法ではないようですが)をもった「まじめ君」が、周りの人たちも変化させつつ、自分の夢でもある辞書づくりにまい進していくお話なんです。『舟』というのは、言葉の海にでていくはかないこころみ…

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松本亨先生の英作文クラス

その昔、高校生時代に上京して、松本亨先生の授業を受けたことがあります。当時、渋谷に松本高等英語専門学校があり、サマー・セミナーに参加しました。受験生用のセミナーで、週に2時間、先生の授業が受けられました。先生の授業は、一人一人の生徒に、前に出て英作文を書かせて、それを添削する、というものでした。これは「英作全集」や、「英語で考えるために」でも触れられていることですが、先生は、この方法がもっとも効果…

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自分の解釈が正しいか迷うとき

英字新聞など教材にするときに、よくありますね。実際に、ある長文がどういう文構造になっているのかわからない場合です。基本的には、思いつくすべての文法項目をリストアップして、明らかに違うものから消去する方法を取っています。たとえば、die young とかgo public といった表現は文法的に何に当たるのか。die やgoは動詞です。そしてyoung とpublicはいずれも形容詞ですね。この二つ…

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理想の授業

以前、高校教師をしていた時代に、どちらかというと一部の予備校講師のような考え方をしていた時期があります。つまり、授業とは、一種のエンターティンメントである。内容を理解させると同時に、楽しませる授業づくりが大切なのではないか、と。最近、高校で教える仕事で、実際に教壇に立つにあたり、勉強を教えるということはどういうことかを改めて考えることになりました。以前、ある方のブログで、伊藤和夫さんや、中原道喜さ…

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Drought Is Withering U.S. Crops.

最新号のTIMEの記事からです。この記事によると、現在、アメリカ中西部では大変な干ばつに苦しんでいるそうです。…but what has happened to the American Midwest this summer has been practically biblical. このbiblical という言葉は、もちろんBibleからきた言葉で、「聖書の、聖書から出た」という意味ですが…

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もらい泣き

冲方丁(うぶかた・とう)さんの新作です。連作するコラムで「怒り」か「泣き」をテーマに書きたい、という企画自体、非常にユニークなのですが、一つ一つのお話が、わずか数ページの中に、ギュッとエッセンスが詰め込まれている感じです。これは冲方さんがいろんな方に聞いて回ったお話を、アレンジされたものですから、全部が完全な実話というわけではないのですが・・。たとえば、こんな話があります。念願の子供が視力薄弱だっ…

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訳すことの意義

松本亨先生は、「英語は訳さなくてもわかる」とおっしゃられて、英語は英語で理解して、自分の記憶にある英語表現を使って、自分の言いたいことを表すという主張をされていました。わたしは、「訳読」という方法は、ある程度の人数の学力レベルの違った集団を相手に、英語を教えるにはかなり有効なものだと考えています。わたし自身、できるだけ英語で理解するように努めているつもりですが、他の人に英語の内容を伝えるのであれば…

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新・英作文ノート

英作文の参考書や問題集は、基本的にはパターンが決まっていて、冒頭に暗誦用の例文が出て、そのあとそれを応用した形での作文を書く、という形のものが多くみられます。日栄社の「新・英作文ノート」(宇佐美修・編著)はこのパターンとは違い、類似表現をたくさん思い出してから、英作文を書いていくという方法を使っています。日栄社の教材は、興味深いものが多いのですが、これもそうしたもののひとつであるといってよいでしょ…

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暗誦の意義

暗誦を勧めていると、尋ねられる代表的な質問が、「でも、相手が同じ表現で返してくる可能性は薄いじゃないですか」確かにその通り。いくら会話を覚えても、テキストに載っている会話があいさつのような、決まり文句のやり取り以外で繰り返される可能性はほとんどありません。この間も、「相手がお休みしている、という状況の会話を覚えて電話したら、その人が出てしまいました」って、それはそうでしょう。だからといって、会話を…

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