高木彬光「能面殺人事件」

戦後の推理小説のファンの方なら、名探偵・神津恭介の名前に聞き覚えのない方は、ほとんどいらっしゃらないと思います。当時の大物作家である江戸川乱歩氏の推奨を受け、ほとんど小説一本を丸ごと、雑誌として出版された、「刺青殺人事件」。これには、日本家屋での密室殺人事件という、当時としては画期的な、トリックが含まれていました。もちろん、それ以外にも、バックグラウンドを彩る、入れ墨の美学も相まって、独特の雰囲気…

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シャーロック・ホームズ「緋色の研究」について

小学生の時、書店で見かけて購入した「深夜の謎」が、実は、シャーロック・ホームズの第一作である、「緋色の研究」であったことは、以前、このブログで触れておきました。たまたま、山中峯太郎版では、1部と2部とが、順番を入れ替えて出版されていたため、ストーリィの前半が、叔父と少女の砂漠での宗教団体との遭遇になっており、後半が、ワトスンとホームズの初対面、ということになりました。大変残念なことに、この順番だっ…

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プーチン(完結)

④1 If this analysis is right, then Putin doesn’t seem like the miscalculating loser his critics make him out to be.もしこの分析が正しいとすれば、プーチンは誤算した敗北者とは見えなくなり、批判者たちはこの可能性を排除しなくてはならないだろう。④2 It also makes…

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プーチン(Let’s imagine Putin didn’t miscalculate)

New York Times の記事から、「プーチンが、計算を間違えていないと想像してみよう」①1 The conventional wisdom is that Vladimir Putin catastrophically miscalculated.普通の考え方で見れば、プーチンは壊滅的に計算を間違っている。①2 He thought Russian-speaking Ukrainians …

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早川書房「シャーロック・ホームズの冒険」(上・下)

もう一つ、シャーロック・ホームズの文庫がありました。岩波文庫からもホームズは出ていますが、これは、短編集から数本を選んだ選集なので、まあ問題にならないのですが、ミステリといえば、ビッグ・ネームの早川書房がありました。じつは、早川書房は、戦後から、ペーパー・バックの装丁で、「ハヤカワ・ミステリ・ポケット・ブックス」でおなじみのシリーズです。その後、早川ミステリ文庫が創刊され、ポケミスでしか読めなかっ…

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4月英検新コーススタート!準1級

エブリの英検コースが開始となりました。今回は、1級、準1級、2級、準2級のラインアップとなります。今日のご紹介では、改変著しい、準1級について中心にお話しさせていただきます。まず、第一に、準1級の問題が、難しさを増した、という件です。おそらく理由の一つとしては、昨年から、英検を大学受験の一部として導入する、という話がかなり具体的にささやかれていたことがあります。実際の導入は見送られましたが、英検協…

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緋色の研究(創元推理文庫版・深町眞理子訳)

いま、タイトルに上がっているように、私の手元にあるのは、コナン・ドイル「緋色の研究」(創元版)です。じつは、出版権の関係から、以前は、新潮文庫以外では、「シャーロック・ホームズの事件簿」を翻訳することができず、このため、完全版シャーロック・ホームズは長らく新潮文庫版以外では、実現することがありませんでした。以前、このコーナーでもお話ししましたが、私が子供のころなじんでいた「緋色の研究」の山中版、「…

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ホームズ「深夜の謎」

私も最近まで、詳しい内容は知りませんでしたが、山中峯太郎の『ホームズ』が、書店から姿を消したのには、事情がありました。シャーロック・ホームズ・クラブというファンクラブがあります。この会長さんは、精神科医のかたで、昔からのファンのかたのようです。実は、山中峯太郎のホームズが、良きにつけ、悪しきにつけ、自由度がきわめて高いところがあります。それは、ホームズの人となりにはじまります。山中ホームズは、大食…

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