ここ数年、英語の試験がその難度をあげてきました。
それは、ひとえに自由英作文の登場があります。
いままでは、英検1級や、準1級、TOEFLなどといった、ある程度レベルの高い英語の試験でしか見られなかった、テーマのある自由英作文が、英検でも3級以上、GTEC、などなど、さまざまな英語試験で登場し始めました。
大きな理由は、センター入試に代わって、英語に関しては、英検、TOEIC、GTEC,などの試験が利用されることになったからです。
おそらく、今までの試験が中心においていた、リスニング、英文読解、ボキャブラリーなどにプラスして、英作文とスピーキングを入れることが、生徒の学力を測るために重要になってきたからです。
どういう出題形態にするかで、トピックそのものは、たとえば、学校で携帯の利用を自由にするか、とか、海外旅行者が日本を訪れる数は将来増加するか、といったものから、死刑廃止などにいたるまで、変化があります。
でも、実際の英文の書き方は、ある程度、シンプルなロジカル・ライティング、アサーティブ・ライティング(つまり論理的に説得するスタイルの文章)に従うことになっています。
ですから、序論―本論―結論から構成されるものを、入試関係、各試験関係の参考書は、打ち出しています。
このスタイルを学ばせるに当たり、各参考書は、それなりのスペースを割いて、わかりやすく説明をしていますが、残念ながら、効果が上がっているとは言いにくいのが現状です。
その理由は、最近の学生さんの読書量が大きく減っていることにある、と思っています。
ジブリの宮崎駿さんは、入ってきたアニメーターの新人たちに、「見て書くのではない、思い出して書くのだ」とおっしゃっているそうです。
でも、「思い出す」ほどの体験をしていない人たちにとって、それができるのでしょうか。
最近、生徒さんに辞書指導をしていて、きずいたことは、電子辞書を使い慣れると、紙の辞典が使えなくなることです。
これは単に、重い、とか、読みにくい、といったことではない。
紙でできた辞典なら、単語はアルファベット順に並んでいます。
study を引く場合、まずs の載っているページ、つぎにsの項目の中から、tの載っているページ、つぎに uのページ、といった具合に見ていきます。
そのとき、わたしたちは、長い間、紙の辞典を引いてきていますから、アルファベットの順番は、無意識に記憶されています。
さきほどのstudyの検索はたちどころに行えるわけです。
ところが、紙の辞典に慣れていないと、次にどの文字を探すのかに、時間がかかるのです。
これが、大きな不便になります。
スマホと、電子辞書が当たり前になった今日では、こうした「思い出すべきこと」がもともと、経験されていない、という事態が起きます。
英作文でも、おなじように、こうした「当然、知っているべき事態」が記憶されていないのではないか。ということを考えています。
では、具体的にはどうなるのか。
これについては、また、次回。