声のサイエンス

声のサイエンス

NHK出版新書から「声ノサイエンスーあの人の声は、なぜ心を揺さぶるのか」という本が出版されました。

著者は山崎広子さん。音楽・音声ジャーナリストという耳慣れない肩書きの方で、いくつかの大学で心理学・音声学を学んだ後、認知心理学をベースに人間の心身への音声の影響を研究された、という履歴をもつ方です。

わたしも、音声学を学んだ人間の端くれとして、非常に興味深く読ませていただきました。

私なりに要約しますと、声を出す、という作業には、専門の器官はない。

発声といういとなみは、そのひとの、全身を使った作業だから。

より良い声を出すためには、まず、自分の声を聴き込む必要がある。

他の人の声ではなく。

たとえば、あこがれの歌手であるとか、好きな話し手であるとか、そういう人の発音、発声を真似しようとしても、上手くいかない。

なぜなら、その歌手や、話し手と、あなたは、別の人間だから。

自分の声を聴きこんで、正直な感想を持つことから、全ては始まります。

わたしたちの多くの人が、自分の声を嫌っています。

この本の著者によると、80%の人は、自分の声がいやなのだそうです。

自分の声が、自分の想像とはかなり違った音になって聞こえてきます。

これは、発声するとき、自分は、骨を通じて聞いているので、耳から聞いている音とは違うのですね。

そこで、自分が話す機会があるたびに、録音して、自分なりの好きな音声になるよう、努力することが大切。

それをやり続けると、精神的にも安定して、自分の好きな声になる。

そして、そうした声を出すことで、より自分の本来の姿を実現することができる。

こう、山崎さんは語っています。

山崎広子「声のサイエンス」¥820+税 NHK出版新書

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