第2次世界大戦の時の日系人収容所

松本亨先生の作品に「英語のイントネーション」という本があります。

もちろん、この本の主眼は、イントネーションの勉強なのですが、松本先生らしい工夫があります。
それは、先生が、感情の表れやすい恋愛物語を書いて、それを通じて英語を学んでもらおう、というアイディアです。

イントネーションを学ぶのですから、物語自体はすべて会話形式。
舞台はアメリカ。
主人公は日本人留学生のトミオ。
日本軍が真珠湾に奇襲をかけたニュースがアメリカを駆け巡った朝から話ははじまります。

物語は、敵性外国人として日系人収容所に入れられたトミオが、たまたま隣り合わせた家族の長女、ヘレンと知り合い、恋愛をしていく、と続いていくのですが、アメリカ国内での日系人の扱いについて知ったのはそれがはじめてでした。

最近、機会があって、Farewell to Manzanar という本を読みました。

これは、アメリカにわたってきた誇り高い日本人の一家が、突如まきおこってしまった、日米戦争のなかで運命に翻弄されていくお話です。

松本先生の「ヘレンと私」では、私のポジションははっきりしています。
国籍も、心情も日本人です。
日本には家族もいます。
トミオは、日本人として帰国する道を選びます。

Farewell では、当然違います。

主人公一家は、アメリカで一旗揚げるためにやってきています。
アメリカ国籍を与えられなかった父は、収容所で、「アメリカ化日本がどちらを選ぶ」といわれ、『父と母がケンカをしたら、仲直りしてもらうことを祈るだけだ』と答えます。

まだ、読み終わっていませんが、私たちが、ぜひとも知っておきたい日米の歴史だと思います。

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