幽女の如き怨むもの

ホラーミステリーです。

遊郭の花魁が、何人も身を投げていきます。
朋輩たちに止められるものもあり、また亡くなるものも当然います。
誰もいないはずの、特別室のなかで足跡がしたり、誰もいないはずの行き止まりの廊下を歩く花魁の姿が見えたり・・。

4部構成になっています。
1部では、若くして遊郭に売られた少女が花魁になっていくまで、そして、戦前の遊郭での身投げ事件が描かれます。
2部では、遊郭を引き継いだ若いおかみの描く、戦中のやはり身投げ事件。
3部は小説家の記録した事件という構成になっていて、4部が一応の決着がつく、という形式です。

もちろん、ホラーとはいえミステリーなので、おおむねの謎は解答が与えられ、作品の中に立ちこめていた、恐怖感はほぼ払しょくされます。

それでも、恐ろしさは消滅してしまうのではなく、物語のそこここに残ったままです。

三津田信三さんの「刀城言耶シリーズ」の最新作で、一部では最高傑作との評判もあるようです。

この二日間、暇さえあれば手に取ってしまった本でした。

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