「フランケンシュタイン」は生物学理論を予想していた?

「フランケンシュタイン」は、メアリ・シェリーによって書かれた、SF、怪奇小説の走り、と言ってもよいと思います。映画化もされましたし、世界でも非常によく知られたキャラクターで、ハロウィーンのメインの1人といってもよいかもしれません。

もっとも、私たちの良く知っているキャラクター「フランケンシュタイン」は、怪物ではなく、それを作った科学者のことで、原作小説には、怪物には名前は与えられておりません。

さて、この小説「フランケンシュタイン」が、どういう風に生物学の理論と結び合ってくるのか、というのが、今日、取り上げる記事です。

‘Frankenstein’ foretold key evolution concept 
(「フランケンシュタイン」は、重要な進化の内容を予言していた)

まさにこのタイトルの通りの研究が発表された、というのです。

The study, which is titled “Frankenstein and the Horrors of Competitive Exclusion” and was published in BioScience, takes its inspiration from a pivotal scene in the 1816 Gothic story, when the monster identified only as the “Creature” asked its creator Victor Frankenstein, to create him a mate and allow the two to go live in “the vast wilds of South America.”

少し長いのですが、
(この研究は、「フランケンシュタインと競争的排除の恐怖」といい、バイオサイエンス誌に発表されたが、これは、1816年に出版されたこのゴシック物語の魅力的なシーンである、怪物、作中では「怪物」とだけ書かれているそれが、そのつくり主である、ヴィクター・フランケンシュタインに対して、彼に連れ合いを作ってほしい、そして二人が南アメリカの広い荒野で過ごすことを許してほしい、と頼む場面からインスピレーションを得た、と言います)

このCompetitive Exclusion というのが、「競争的排除」と言って、「生活要求、つまり、生活に必要な環境と、物質が似た種は、長らく共存することはできない」という生物学の考え方だそうです。

1933年の映画、「フランケンシュタインの花嫁」では、フランケンシュタイン博士は、このリクエストを承諾して、怪物に妻を作ってやるのですが、原作では、ある程度作ってみるものの、最終的には、こうなります。

Frankenstein’s decision anticipated a concept that scientists in the 1930s defined as “competitive exclusion,” which illustrates the limits of life’s expansion when species need to compete for the same limited resources.

(フランケンシュタインの、最終的に「怪物の相方」を完成させず、破壊してしまう、という決心は、科学者が1930年代に「競争的排除」と定義したものを予想していた。つまり、他の種が、同じ限られた資源を争いあう必要がある場合には、生命の拡大を制限してしまう、ということを示している。)

それが原因で、フランケンシュタイン博士は、怪物に殺されてしまうのですが、ここで怪物の増加を食い止めるのです。

さらに記事では、ダートマス大の人類学者、ドミニィ教授の口を借りてこう言っています。

“People have a fundamental understanding of concepts like the ecological niche and that species will do well in some habitats and not so well in others.”

(「人々は、生物学的なスキマの概念の基本的な理解を持っている。これは、ある種は、ある場所ではうまく生きていくが、別の場所では、そうではない、ということだ」)

昨年、「100分で名著」というNHKの番組でも取り上げられていましたが、このゴシックホラーには、単なる怪物物語、恐怖小説といった枠組みを超えた魅力がいっぱいあるようです。

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