生物の大部分は、繁殖の時期が終われば、すみやかに死の旅に出ることになる。
人間に最も近いチンパンジーでさえ、この運命からは逃れることができない。
ところが、どうも自然淘汰というシステムが、人間と、何種類かのクジラに排しては、繁殖期が終わっても、ずいぶん長生きをさせてくれているようなんです。
実は、これ、2016年第2回、つまりついこの間実施された英検1級の長文問題です。
Researcher Ajit Varki of the University of California, San Diego, has developted a theory to account for this anomaly.
カリフォルニア大学サンディエゴ校のアジト・バラキ教授は、このなぞについて説明できるある理論を構築した、とあります。
その理論によれば、人間の中には、APOE という遺伝子があり、これには3つの変形があるそうです。
APOE4 という変形遺伝子は、アルツハイマー病を引き起こす可能性のある危険要因として知られているものです。
この遺伝子は、チンパンジーにも、人間にもみられるものだそうです。
さらにAPOE2 と APOE3 があり、これは認知症を防ぐ働きがあるものらしい。
この二つは、人間のみにみられるものだとか。
しかも、バラキ教授の分析によれば、後の2者は、APOE4 の後で発達したものだ、とのことです。
When asked why modern humans have retained all three differing forms of the APOE gene, Varki says that since APOE4 protects children from diarrhea and aids in survival during times of starvation, natural selection could have favored it as well.
少し長いのですが、
なぜ現代人は、このAPOEの3つのバリエーションを持っているのか、と尋ねられた時、バラキ教授は、次のように語った。
APOE4 は、子供が下痢になったり、飢えたときに生き延びる助けになる。自然淘汰は、こうした機能も大切だと思ったのだろう。
そしてこう結んでいます。
Evolution, he argues, is a trade-off.
「進化というのは、一種の兼ね合いなんだ」
前の方でも述べられているのですが、自然淘汰、あるいは進化というものは、人間には、育児を助ける、経験を積んだ祖父母がいることが大切である、と判断したのかもしれません。
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