その昔、高校生時代に上京して、松本亨先生の授業を受けたことがあります。
当時、渋谷に松本高等英語専門学校があり、サマー・セミナーに参加しました。
受験生用のセミナーで、週に2時間、先生の授業が受けられました。
先生の授業は、一人一人の生徒に、前に出て英作文を書かせて、それを添削する、というものでした。
これは「英作全集」や、「英語で考えるために」でも触れられていることですが、先生は、この方法がもっとも効果的だと考えていらっしゃいました。
ただ、先生の出題される英作文は、パターンを使った英作文に慣れている高校生には、ハードルの高いものでした。
したがって、参加している高校生(私のいたときにはひとクラス50名くらい)でも予習を全部してきている人たちはあまりいないようでした。
わたしも他の高校生同様、わからないことだらけでしたが、どうしても先生に自分の作文を指導してほしかったので、ある方策を使いました。
後ろの問題から予習したのです。
例えば1番から20番まで問題があるとすると、普通の人は1番から取り組むのですが、わたしは20番から取り組みました。
わたしの読みは当たって、松本先生が指名していくと、15番くらいから手が上がらなくなり、終わりにはわたし一人しか手をあげない状況が起こりました。
18番、19番と先生はやむなくわたしを指名しましたが、
「他にやってきているひとはいないかな」とおっしゃってみえました。
思いきって、「答えを二つ書いてもいいですか」と伺うと、許可が出たので、前の晩に思いついたものをもう一つ書いて、添削していただきました。
この状況が、励みになって、英作文がすっかり好きになっていきました。