ペンギン・ハイウェイ

「鹿男あをによし」のファンなので、万城目学さんの作風に似た作家はいないか、探してみたところ、森見登美彦さんの名前がよく上がります。

「夜は短し歩けよ乙女」という山本周五郎賞受賞作品を借り出して読んでみましたが、どちらかというと、状況の面白さというより文章の楽しさの印象が残りました。

その後、いくつかの作品を読んできて、森見ファンにもなってきましたが、最近になって、話題の新作「ペンギン・ハイウェイ」を読みました。

多分、自分が好きなペンギンがでてくるところや、小学校4年生の少年の淡い初恋の物語である点、なかなか気に入って、あっという間に読み終えてしまいました。

読み終えてふと考えると、テイストが「鹿男」とかなり似ているような気がしました。

終わりまで行き着くとよくわかりますが、これは一種のSFでもあり、ストーリィが「仕掛け」通りまっすぐ進んでいて、独特の爽快感がありました。

詳しく書くとネタ割れになってしまうので書けませんが、読んでいて、いじめっ子のスズキくんとのかかわりとか、ハマモトさんとの友情(?)などがすべて丁寧に積み上げられたピースであることがわかります。

角川文庫版では萩尾望都さんが解説を書いていますが、「お姉さん」が素敵な人だ、というこれまた、気の利いたエッセイになっています。

久しぶりにとても楽しいお話を読むことができました。
次の森見作品が楽しみです。

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