小学生だった頃、持病があって、毎月、名古屋病院に通っていた時期があります。
だいたいは月末だったのですが、父と母に連れられて、デパートに通っていたものです。
午前中には、病院で診察を受けて、血液検査などされました。
午後になると、家族でお昼を食べ、その後、デパートで自分の行きたいお店にでかける、というスケジュールでした。
こんなことを言うと、驚かれることもあるのですが、小学校3年生くらいの時には、デパートの本屋さんに一人で行って、自分の読みたい本を、毎月買ってもらったものです。
父母が、来てくれるまで、1時間でも、2時間でも、ずっと立ち読みしながら待っていました。
その本屋さんで気に入ったのが、ドリトル先生物語、というお話でした。
これは、第1次世界大戦のころに、子供を持ったばかりのお父さんが、家で待っている子供たちから、お手紙を送ってほしいと言われたことから始まりました。
お父さんは、いろいろ、書くことを考えましたが、なにしろ、戦場のことなので、子供に書いて送るようなニュースは全くありません。
ただ、戦場で、人間の貴重な相棒なのに、足を怪我したり、銃で撃たれたりして死んでしまう馬たちのことがすごく気になりました。
でも、さすがに戦場の馬たちの話を書くわけにはいきません。
そこで、ドリトル先生という、動物語の分かる獣医さんの話を書くことにしました。
毎回、子供たちにドリトル先生のお話を書くと、「先生はその後、どうしたの?」とか「話に出てきた馬はどうなっちゃったの?」と疑問が寄せられました。
そこで、お父さんも一生懸命書き続けました。
その後、戦争が終わってからも、ドリトル先生のお話は続きました。
先生のお話には二つの系統があり、ひとつは、ドリトル先生が、動物たちを連れて、重荷アフリカへ旅に出かける話。
もう一つは、先生に弟子入りしたトーマス・スタビンズという、12歳の少年が、一生懸命、動物語を勉強して、先生の代わりにノートをとったりして、立派な助手になっていくお話です。
1作目は、ドリトル先生が、ペットであるオウムのポリネシアから、動物語を学び、ペットたちの要望に応えて、アフリカへの冒険旅行に出かける話、2作目は、スタビンズ少年が、先生のところに弟子入りして、頑張って努力するお話。
そういうわけで、 2種類のお話が、交互に書かれる形式で、作者のロフティングさんが,亡くなるまで、10作書かれました。
その後、ロフティングさんの奥さんの妹さんが、先生の大ファンで、さらに2冊、続きを書きました。
都合、全12巻で、この作品集が、毎月本屋さんに並んでいたのでした。
病院へ行くことよりも、この本を読むことが楽しみになって、毎月一冊、買ってもらって繰り返し愛読していました。
イギリスに出かけたときに、大きな本屋さんに出かけて、このドリトル先生のシリーズを、ハードカバーの上質版で買いました。
残念ながら、2冊足らなくて、今、実家には、10冊しかないのですが、それぞれ手に取ると、まるで、アニメのように、物語の細部がよみがえってきます。
またこれから、すこしずつでも、私の読んできた英語の物語のお話を書いて行こうと思います。
面白いと思って読んでもらえれば、こんなにうれしい事はありません。
そして、いまでも岩波書店というところから、豪華版と、少年文庫版が出版され続けているので、ぜひ皆さんも、読んでみてください。
また、新しい訳が、KADOKAWAの文庫本になって、何冊か訳されているようです。
とりあえず、新しいバージョンの物語も、なかなか面白く読めます。
それでは、また次回、一緒にドリトル先生物語を楽しみましょう。