2014年3月10日号のタイムの記事です。
ここで取り上げられているのは、過剰なまでの「医療検査」に関するもの。
執筆者Marty Makaryさんは外科医で、いままで多くの患者さんのガンと取り組んできました。
Martyさんは最近、ある患者さんからショッキングな訴えを聞きました。
それは・・・
この患者さんは、腫瘍を探すため、全身のCTスキャンを受けたそうです。
すると、すい臓に腫瘍が発見されました。
3%の人は、このような腫瘍を持っていることがあります。
ただ、この腫瘍が大きな問題になることは稀です。
この腫瘍の大きさと特徴から考えて、医者は、はたして良性のもので放置しておいていいのやら、除去してしまわなくてはならないものやら、結論が出せないまま、彼に丸投げしてしまいます。
決断を任された彼には、不安な日々が続きます。
おぞましい想像で眠られない夜もあります。
家族の中もぎすぎすし始め、仕事にも集中できません。
とうとう決心して、除去手術を受けます。
「良性だったよ、よかったね」
医師や看護婦は声をかけてくれますが、この患者さんにとってはとても気楽には受け取れません。
手術費用25000ドルをはじめ、8週間にわたって、仕事を休む羽目になりました。
それだけではありません。
身体を弱らせてしまう、合併症まで併発してしまったのでした。
Martyさんは、CTスキャンが彼を病気にしてしまったのだ、と判断します。
「犠牲」にはいろんなことばがあります。
記事のタイトルになっているThe costもそうですし、the priceもこの仲間です。
たとえば、You have to pay the price because you have done too much.
(やりすぎたんだから、その埋め合わせはしなくちゃな。)
さらにここでは、the quest to seek and destory cancer can produce collateral damage.という文もあります。
collateral damageは映画にもなりましたが、戦争などで、一般の人が犠牲になってしまうことですね。
かくのごとく、既知の単語のいろいろな使い方に注目すると面白いと思います。
ちなみにこの記事は、アメリカでは60の医療学者の集団に対して、過剰に実施されている無駄な医療検査を5つ上げるように要請していて、そうした検査を減らす方向に持っていこうとしているようです。
日本でも、ぜひ同じような調査をしていただきたいものですね。