新版 論理的思考

「新版 論理的思考―論説文の読み書きにおいて」宇佐美寛・著 (株)メチカルフレンド社

論理を指導する、という職業柄、「論理的思考」といたタイトルのついた本にはできるだけ目を通し、興味深いものは購入することにしています。

この本は、宇佐美さんが実際に教室で「論理的思考」を教えている内容を再現したもので、わかりやすく記述されています。

とくに、論理的思考は、説明できない、繰り返し練習を積み、そのコメントを通じて体験して身に付けるしかない、というところは、共感できるところがあります。

ある文章を見て、それに対して不審に思うところを取り上げ、どこが自分の納得のいかないところなのかを考えていく。

基本的にはこれが、この本のスタンスです。

たしかに、論理的な考え方に関する本は世の中にあふれています。

そのほとんどが、フォーマットに基づく考え方に関するものであったり、論理学の解説書なり、実践的問題集であったりします。

なかなか、こうして一歩一歩論理を進めていく、という形で書かれているものはないのです。

そうした意味では、自由英作文の本に似ています。

考え方を明示されても、それを「論理」であるかどうか、という判断を下すことができないこともあります。

そういう基本的な部分から解説されているこの本は、基本的な意味で、きっちり論理でとらえていく訓練を積む意味で参考になります。

アマゾンでのコメントとして、「ビジネスで使えるロジカル・シンキングとは違う」という発言がありました。たしかにビジネス書によくみられる、パターンを理解して、それで割り切っていく形のものではないかもしれませんが、わたしにとっては、そうしたものよりずっと胸に落ちる考え方の本でした。

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