少し前の記事ですが、TIMEに「過ぎ越しの祭り」の記事が載りました。
[過ぎ越しの祭り]は、映画「屋根の上のバイオリン弾き」にも描かれた、ユダヤのお祭りです。
以前、TIMEでは、秘密情報部員たちが、コロナ感染拡大のために、まともに活動もできなくて困っている、というエッセイが掲載されました。
今回は、昔ながらのユダヤのしきたりが、コロナのおかげで、お預けになる、というお話です。
それでは、最初の部分を読んでいきましょう。
I could hear my mom in another room once again asking if the kosher beef ribs had arrived. Or maybe it was the kosher potato chips; I’d been hearing calls like this all week, check-ins with stores in Houston, where she and my dad live.
kosher = ユダヤ教にふさわしい形で調理された rib = あばら骨 check-in = カウンター
1文 「私は、また別の部屋にいる母が、コシャー方式で調理された豚のあばら骨が届いているか尋ねているのを聞くことができた。
2文 「あるいは、それは、コシャー方式のポテトチップのことだったかもしれない。いずれにせよ、このような電話をこの州はずっと聞いていたのだ。それは、両親の住んでいるヒューストンの店のカウンダ―でのことだった」
This time, though, I turned to my husband: “Which one of us is going to tell them they have to tell her that Passover isn’t happening?”
passover = 過ぎ越しの祭り
3文 「しかし、今回は夫の方を見て私は尋ねた。「あなたと私とどちらが、両親に過ぎ越しの祭りはできないわよ、といったらいいのかしら?」
Her, he knew, meant Mamaw, my maternal grandmother, who has hosted Passover seders for about 50 years.
Mamaw = ママさん、女性で、行事を取り仕切る人 maternal = 母方の seder = 祭り、祝宴
4文 「彼女、というのが、私の母方の祖母だということは、夫にもすぐわかった。彼女は今まで50年にもわたって、過ぎ越しの祭りの祝宴を取り仕切ってきたのだ」
Knowing what we do now about the coronavirus outbreak, it seems obvious that families will not gather for the Jewish holiday this year the way they have in years past. But at the time, about a month ago, the situation was only starting to come into focus. Just over a week before that particular phone call, 13 family members had gathers in our home in New York for my younger son’s second birthday. By then, we had all upped our handwashing, but the CDC hadn’t yet issued its guidance on social distancing.
coronavirus = 新型コロナウイルス come into focus = 明らかになりつつある
CDC=アメリカ感染症研究所
5文 「コロナウイルスの感染拡大について私たちのしていることを知ったうえで、私たち家族が、過去、何十年もしてきたようなかたちで、ユダヤの祭日を集まって祝うことができない、というのは、明らかなことのように思われた。
6文 「でも、その時、今からひと月前には、また状況は、あきらかになりつつあるじょうたいにすぎなかった。
7文 「この電話の、一週間までには、家族の13人のメンバーがニューヨークの私たちのうちに集まって、次男の2回目の誕生日を祝った。
8文 「そのころまでには、私たちはみんな、手洗いは始めていたものの、CDCはまだソーシャル・ディスタンスについてのガイダンスには触れていなかった。
日本の田舎のお正月をほうふつとさせるような、昔からのお祭り【お祝いの席】とそれを取り仕切る、おじいさんとおばあさん、そして、都会にいる子供たちや孫たちが、通常なら、年に数回、里帰りして、代人数で席を囲ってお祝いするという慣習が、コロナによって、突然、断ち切られそうになっているさまが、生き生きと描かれています。
そういう点では、どの国、どういう宗教でも、一脈通じるものがあるな、とも思えるところですね。
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