私たちの時代とは違って、現在では、電子辞書が普及しています。
そのため、英英辞典も、そう珍しいものではなくて、ちょっと高いものを買えば、簡単に手に入ります。
いま、私の机の上に、くたっとなってしまい、背表紙も取れかかった英英辞典があります。
これは、Oxford Advanced Learners’ Dictionary という、私たちのころには、2冊あった、割とポピュラーな辞典です。
開拓社というところから、「新英英大辞典」というコンパクトな辞典と、もう少し大きな、当時はハードカバーだった、この「現代英英辞典」というものとがありました。
最初に、松本亨先生の下に伺った折に、勧められたのは前者でした。
ところが、この本は、悲劇的な運命をたどってしまって、私のいた高校で、火事が起きたときに、消防車の水をかぶって、すっかり使えなくなってしまったのでした。
かわかして、べらべらになったものを使っていたのですが、どうしても手になじまなくて、結局、もう一冊の辞典を買うことになったのでした。
この本には、お世話になりました。
いま、偶然に開いてみたページには、devoid という単語がついています。
これは、~of something と書かれていて、説明として、without something :completely lacking in something と書かれています。何かが欠けている、完全に何かかけたものがある、といったような意味ですね。
そこで、その後にある例文を見てみます。
a criminal utterly devoid of conscience というのが、揚げられている例文です。
「ある犯罪者は、完全に意識を失っていた」という意味です。
これだけが、このdevoidという単語の部分に書かれている情報です。
でも、これだけの情報があれば、結構高校生には十分でした。
without something と書いてあれば、何かが無いんだな、ってわかりますからね。
同じページの右側を見てみると、dexterity という語が出ています。
これも見てみると、定義として、skill, esp in using one’s hands とあります。「技術、特に本人の手を使った」という感じですね。
例文は、A juggler needs great dexterity. Juggler というと、曲芸師、ペテン師、詐欺師みたいな意味が出てきます。
ですから、「曲芸師には、優れた技術が必要だ」という意味だということが分かります。
もちろん、はじめてこの項目を見たときには、juggler の意味も分からないし、dexterity もすっきりしません。
でも、毎日、すこしずつでもこの辞典を引いていくと、不思議なもので何となく、英語でも意味が取れるようになってきます。
そうですね、自分でも、3か月くらいたったころには、おおざっぱでしたが、意味が少しずつ感じられるようになってきたものです。
特に、当時は、辞典は、かなり重い、紙の塊でしたから、そう何冊も持って学校へ行くことは大変でした。私も、松本先生や、先生の学校のスタッフの先生方から、英英辞典を使え、と言われて、始めのころは、わけもわからず、引いていた感じです。
(この項目は、また改めて書いていきたいと思っています)