わたしが受験時代を迎えたのは、昭和40年代後半です。
このころは旺文社全盛で、多くの受験生が「大学受験ラジオ講座」を聴講していました。
当時、短波放送しかなくて、(そもそも短波放送、わかります?)音質の良さなどは、論外。
何とか聞こえるかどうか、という状態。
それでも、短波受信機を買ってもらって講座を録音していました。
高校在学性が予備校に行くのは、あまりないことでした。
「大学受験ラジオ講座」では、「まぼろしの」予備校の授業が聞けたのです。
代々木ゼミナールを中心とした予備校のそうそうたる講師陣が、30分番組を担当したのです。
英文法鉄則、とか実戦英文法、長文読解、そしてたまにはヒアリング講座。
もちろん褒賞されていたのは、英語だけではありません。
数学I やIIBなども授業がありました。
事前にテキストを読んで、予習をして、授業を聞き、録音したものを、繰り返し聞く。
これが、大学受験の平均的勉強法でした。
今、手元にあるのは先日ブックオフで見つけた、西尾孝先生の「実戦英文法活用事典」(財団法人 日本英語教育協会)です。
この西尾孝という先生は、もともと早稲田大学の教授だった方です。
退職された後、受験英語で覚えておくべき英文法の定量をまとめた「実戦英語水準表」をだして、ベストセラーとなりました。
(多分)代々木ゼミナールで教鞭をとっていらっしゃったようですが、英文法シリーズをいくつも出されました。
わたしは、以前、この活用事典をもっていて、わからない項目を調べては、問題を解いていました。
事典とうたっていても、これは項目別の文法書で、説明の後問題が付いていました。
最近は、文法書でも別冊で問題集が出ていたりするものですが、この本は、一冊やるだけで、文法の概念が分かり、さらに受験問題にも(量は多くないけれど)ふれられる、という意味で文字通り活用しました
先生の話し方は、いかにも受験の先生なのですが、リズミカルで、調子がよく、「べらんめい」の江戸弁の噺家さんのようでした。
なんだか、「英語なんで簡単さ、そんなに悩むことなんかじゃあねえよ!てな感じの話し方でした。
もちろん、そんなことは、西尾先生が口にされたわけではないのですけれど、ね。
と、いうわけで、受験当時の懐かしの一冊、でした。