「英語辞書の知識」佐藤弘・著

小説そのものも好きだけれど、その解説も好き!
辞典もおもしろいと思いますが、その解説書ももっと好き、なのです。

古本屋さんで手に入れた本ですが、出版された1977年ごろの辞典事情がわかってとてもおもしろい。

特に斎藤秀三郎「熟語本位英和中辞典」に関する記述は情熱的で、実際に辞典を手に取りたくなる力があります。

ここは、「英語青年」に掲載された文の引用なのですが、

「Hornby によれば、真に日本人の手になった英和辞典と言えるのは斎藤秀三郎氏の『熟語本位英和中辞典』と、この『英和活用事典』(勝俣銓吉郎・著)だけだそうである。」(佐藤佐市「辞書編集者の生活」『英語青年』(研究社、1959)

こちらは、別の書物からの引用。
 「わが大正時代の終わりごろ、お隣の中華民国で『総合英漢大辞典』という詳細な辞書が刊行された。・・・その中の「例解」の項で、つぎのようにわが斎藤秀三郎とその著『熟語本位英和中辞典』とを激賞し、『総合英漢大辞典』の編集にあたり、『熟語本位英和中辞典』のよい点はすべて採り入れたとのべている」
とのこと。」(町田俊昭『三代の辞書』三省堂1971)

もちろん、「斎藤英和中」は持っていて、おもしろい辞典だと思っていましたが、こうした評価があることは全く知りませんでした。

このような知識を蘊蓄(うんちく)というのかどうかわかりませんが、こうした関連知識によって、その本を読んでみたいとか、その辞典を使ってみたいと思わせれば、この解説書の意義はおおいにあると思うのです。

「英語辞書の知識」佐藤弘・著 八潮出版社

コメントは受け付けていません。