猫弁

最近、現実世界では、あまりにこの間、吉岡秀隆さん主演の「猫弁」を見て、とてもほっとしました。
殺伐とした事件が起こっているので、こうしたほのぼの系を見ると本当に癒されます。

ある葬儀場で、霊柩車が盗まれます。
ドライバーの人が、トイレに行っていたわずか3分間のすきに乗り込んだ2人の人物が運転していってしまいます。
当然、霊柩車の中に入っていたはずの遺体が盗まれたわけです。
そして、遺体を返してほしければ、1540万よこせ、という脅迫の連絡が入ります。

猫弁、百瀬弁護士は、この解決を依頼されます。
有能だということで、推薦された百瀬なのですが、その有能さは全く垣間見えません。
どうにももっさりとした、コロンボか中村主水を思わせる、野暮ったい人物なのです。
実は百瀬弁護士、結婚したくて、3年間にもわたり、ある結婚相談所で見合いをし続けているのですが、30回も断られ続けている、さえない男、なんです。

ネタバレになってしまうかもしれませんが、この作品に出てくる登場人物は、ほぼすべて、おなじ一直線上につながっていきます。
駅前で百瀬の靴磨きをして、その状況をピタリぴたりあてたおばあさん。
借金まみれのお笑いコンビ。
高級靴の会社の社長と秘書。
高級マンションに住む、猫をかわいがる女性。
そして結婚相談所の女性の係員。

見ている時は、これもこれもこうつながって、これは偶然の一致が過ぎるんじゃあないの?という感じですが、全体を見終わってみると、「猫弁」独自の世界だったということがよくわかります。
無駄なくまとめられていて、余分なエピソードがなく、しかもミステリー(ある程度底は見えているのですが)なのに、殺人が起こらないので、安心して見られます。

ドラマの原作としての小説らしいのですが、本当によくできていると思いました。

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