「本書から正真正銘の永久的な奥義を得たいというのなら、一度だけサッと飛ばし読みすれば十分だなどと考えないでいただきたい。本書を精読し終わった後でも、毎月、本書の内容を思い起こすために数時間を割くべきであろう。何度も、本書を拾い読みすべきなのだ。まだまだ手近なところに大きく改善できる余地があることを絶えず自分の念頭に入れておいてほしい」
(デール・カーネギー【道は開ける】香山晶・訳、創元社)
これはまさに音読について言えることではないか、と思いました。
長い間、わたしの本箱の中にあった本ですが、「一度だけサッと飛ばし読みすれば十分だ」と明確に考えたわけではありませんが、結果としてそうなってしまったのがこの本でした。
たまたま機会があって、この本を取り上げてみたところ、冒頭5ページのところで発見したのが、上記の文章でした。
音読は、エブリにお越しいただいているほとんどすべての方のレッスンで実施している学習方法ですが、比較的やさしい表現を集めたものを使っている場合は特に、数回読めば事足れり、と考えてしまうことが多いようです。
実際には、1年以上にわたって、レッスンを受講していただいている方は、かなりの量の英文を読んでいただいており、音読教材として使っている中学用の教材は、すべて暗誦できるようにしている、といってよいでしょう。
これができると、必要な表現を、まるで、今日着る服を戸棚から取り出すように、口にすることができるようになります。
カーネギーの「道は開ける」は、人を励ます効果の大きな本ですが、それと同時に、勉強の仕方を教えてくれる重要な教師でもあります。
わたしたちの人生には、悩みはつきものです。
時として、救いがないように思えてしまうこともあります。
でも、こうした本を手に取ることによって、人生に対するものの見方が変わり、まさに目の前に「道が開ける」ことになるかもしれません。