フリーズする脳

築山節さんの「フリーズする脳―思考が止まる、言葉に詰まる」(NHK生活人新書)にこんなエピソードが出てきます。

築山さんがある学生と話していて、「それに関して、おもしろい話があるんですよ」と相手が言ったそうです。
当然、私たちは、その「おもしろい話」を期待して、相手の発言に耳を傾けます。
ところが、その学生さんは、その後を話さない。

そこで、築山さんが「それはどんな話なの」と尋ねます。
すると、「ああ、それは、インターネットを検索すれば出てきますよ」という返事。

つまり、その学生さんは、自分で「おもしろい話」を要約するのではなくて、あるキィ・ワードでインターネット検索をするようにいったわけです。

これが、「フリーズする脳」にひとつのかたちである、と築山さんは語ります。

そのほかにも、他の人と話していても、実は何も覚えていない、というサラリーマンのケースとか、雑然と話を聞いていても整理ができておらず、何をしたらよいのかわからない、という例をあげていらっしゃいます。

で、よく考えてみると、私たちが日常的に遭遇している状態にとてもよく似ています。

携帯メールが普及してから、私たちは漢字が書けなくなってしまいましたが、それと同じように、『考えずに済むこと』が増えていくと、その作業がどんどんできなくなってしまうようです。

一読、ぞっとして、机の上のコンピュータを眺めてしまう本でした。

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