パンとスープとネコ日和

町内でも親しまれた「お食事処 カヨ」を経営していた母を失って、それまで編集者をしていたアキコは、人事異動できょうみをもてない部署に配属になった。
結局、アキコは会社を辞め、自分の心地よいお店を開くことになる。
アキコ、53歳。

お店のある建物の上の階は、アキコの住居でもある。
そしてここには、毎日アキコの帰宅を待ち望んでいる、ネコの「たろ」がいる。

紆余曲折ありつつも、毎日、がんばって過ぎていく一日一日を描き出しているのが、群ようこさんの小説、「パンとスープとネコ日和」です。

決して、良いことばかり書かれているわけではないのに、全体として案となくほんわかとした雰囲気が漂っていて、独特の群ワールドを作り出しています。

読み始めたら、あっという間に読み終えてしまって、続きが読みたいな、と思っているほど。

特に、ネコの「たろちゃん」の存在感は抜群で、彼が登場するたびに、顔の筋肉がほころびっぱなし。

以前、「鹿男あをによし」で、鹿が話をすることろから、一気に作品世界に巻き込まれてうれしくなったことがありますが、この作品も、傾向はまったく違うものの、そうした作品世界があって、キャラクターたちが、すうっと彼らの世界に連れて行ってくれます。

忙しいのに、ついつい手に取って読んでしまう、この牽引力はなんなのでしょう。
ぜひ、一度手に取ってお読みください。

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