児玉清さんの遺稿集、「すべては今日から」を読みました。
早いもので、児玉さんが亡くなられて1年がたってしまいました。
ごく最近まで、TVなどでよくお見かけしていた気がするのですが、もうそんなにたってしまったのか、という気持ちになります。
児玉清さんが、わたしにとって、印象的な俳優になったのは、2008年に放送された「鹿男あをによし」がきっかけでした。
いつも、上品で、善人役を演じてきた児玉さんが、実は・・というのはかなりびっくりしました。
でも、それよりもDVDボックスを購入したときに、特典映像のインタビューで、もともと万城目さんの「鴨川ホルモー」以来、作品に注目していたこと、「鹿男」では、出演を打診されて、即答で承諾したこと、でもそのあと、小治田教頭という役が、リチャード・ギアからとった、リチャードというあだ名をもったキャラクターであるため、少し不安(?)になったこと、など、情報というか、深いお話がいっぱいで、とても楽しかったからです。
今回の遺稿集では、原稿用紙にして数枚のエッセイを集めているのですが、読んでいて、とても励まされるものがいくつもありました。
特に、大学の卒業式に、お母様が亡くなられて、それまで予定していた大学院への進学ができなくなったこと。
そして、いくつか企業にあたってみても、すでに時遅し、で、いくところがなかったこと(「鹿男」で玉木宏さんの演じる小川先生に一脈つうじるような・・)。
ある人が児玉さんの書類を送って応募していた映画会社のニューフェースの面接の、笑えるエピソードなど、知らなかった情報も多く、とても楽しい読書時間でしたし、またおおいに励まされるお話もたくさんありました。
「もっと小説を読んでください。未来を築くために――」という、児玉さんの言葉は、まさに今の日本人へのメッセージだと思います。
児玉清さん、極上の本をありがとう!