大学入試で日本を知る!携帯小説の誕生②

前回に続き、続編です。第3段落から見ていきましょう。注釈はそれぞれ一文ずつでつけていきます。

Cell-phone novels are created and consumed by a generation of young people in Japan that demand to be heard.

created and consumed とあります。createdは「創り出された」であり、consumedは「消費された」ということになりますが、むしろ「読まれた」「愛読された」とするほうが良いでしょう。

demand to be heard ですが、demand はwant やwish よりも強く、「~したいと強く思っている」

to be heard というのは、「自分の声が聞かれたい=自分の主張を聞いてもらいたい」というニュアンスだと考えていただけばよいでしょう。

携帯小説は、自分の考えていることを世界に届かせたいと思っている日本の若者たちにより、作り上げられ、読まれています。

2文目。

It has also become big business.  携帯小説ウェブサイトは儲かるビジネスになった。

3文目。

On major book wholesaler Tohan’s 2007 best-seller list, five out of the top 10 books in the fiction category were keitai shosetsu, including the top three.

wholesaler =卸売本屋 five out of the top 10 books = 売り上げ上位10冊のうちの5冊 

fiction category = フィクションの分野 including = ~をふくんでいる

書籍の、大手の卸売業者、東販が発表している売上上位10冊の本のうち、5冊を携帯小説が占めており、そのうちでも人気の、上位3冊が携帯小説だ。

4段落。

1行目。

The new genre is causing strong negative reactions in Japan’s literary circles, where many think that  keitai shosetsu should stay on cell-phone screens.

genre = ジャンル  literary circles = 文壇 

この新しいジャンルに対しては、日本の文壇からは、強い拒否感を引き出した。日本の旧来の小説家たちの多くは、携帯小説が、形態の小さな画面から飛び出すことのないようにと考えている。

2行目。

However, keitai shosetsu are undoubtedly shaking up the publishing industry, whose sales have been declining for a decade.

shaking up = 震撼させる、揺るがす、大きく変化させる declining = 売れなくなっている

decade = 10年

しかしながら、携帯小説は疑いもなく(日本の)出版業界を揺るがしている。業界での売り上げは、ここ十年にわたり、低迷し続けている。

5段落。

1文目。

A professional fiction writer is lucky to sell more than a few thousand copies of any one title.

プロの作家は、どれでも一つの小説で、数千部売れれば、運が良い。

2文目。

A popular cell-phone  novelist sells several hundred thousand copies, and recruitment for new talent is intense.

recruitment =人材集め talent = 才能(のある人々) intense = 激しい

(これに対して)人気のある形態小説家は、(一作で)数十部売る。新しい才能の発掘・取り合いが激しいものになる)

3文目。

“Find the novelist within you!” online ads cry. “Make your debut!”

ads = advertisement (広告) debut = デビュー。プロになること。

「君の中にいる小説家を見つけよう!」とオンラインの広告は叫ぶ。「さあ、デビューしよう!」

 

以上が、旺文社「集中マスター英語長文問題集レベル1」の14番目の問題として出されている長文です。

それまで、文壇の作家さんたちの作品を原作にした映画が作られましたが、ここ20年ほどは、コミックスや、ライトノベル、そして携帯小説が原作になった映画がみるみる増えてきました。

私たちのように、こうした世界に疎いものにとっては、非常に興味深い、レポートだったと思います。

大学サイドは、できるだけ多くの若者に入学してほしいので、特に最近の若い人たちの考えにアピールするような、問題を作ってくれているようです。

こんな風な英文を読んでいくと、勉強といってもとても楽しいですし、また、最近のいろんな傾向が分かって、おもしろいですね。

また、1級や準1級といった上級クラスを目指す方にとっては、こうした英文は、英作文のもと、としてもすごく参考になるのではないでしょうか。

ぜひ、一緒に勉強してみましょう。

 

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