わたしは、英語で作文することが気に入っています。
学生のころ、ラジオで聞いていた、松本亨先生の「英語会話」という番組がお気に入りでした。
残念なことに、松本先生のラジオ番組は、私が中学を終える年に、週1回だけになってしまったので、先生のお話は、英語でしか、聞けなくなってしまいました。
でも、先生は、当時、書店の本棚にずらりと並ぶほど、英語に関する著作があったので、1冊ずつ、手に入れて、すこしずつ読んでいきました。
先生の本は、おおざっぱに分けて、次の3種類になります。
先生は、長年にわたって「英語会話」の講師をされていて、テキストは、ご自分で書かれていたそうです。
だから、とても多くの「英会話テキスト」として書かれた物語があって、それは、恋愛物語だったり、ユーモアストーリーだったり、さまざまな形で残っています。
本で出版された物だけではなく、テキストだけに残されたものもたくさんあります。
そういう「英会話」による物語集、というべきものです。
つぎに、先生の英語学習物語にあたるものです。
これは、先生が、英語学習者として、どのように工夫をされて英語に取り組んできたかの自伝のようなものです。
このなかには、「英語で考えるためには」といった、学習の仕方の本がいくつもあり、それは、私たちにとって、非常に参考になるものです。
そして、最後に「英作文」の本です。
たぶん、松本先生の最も偉大な作品はこの分野にある、と私は考えています。
英作文の本には、まず、全10巻の「英作全集」があります。
これは、先生が、ご自分の学校で、英作文を教えてこられて、学生が間違ってしまう英文をまとめたものです。
形式としては、「私は今度あなたにお会いできるのを楽しみにしています」という作文を出して、生徒が書いた誤答を挙げます。
この誤答のどこがよくないのかの説明をします。
つぎに、この和文に似た、例題を3問、出題します。
この3問を自分で書くことが課題です。
巻末には、この3問の解答が載せてあります。
先生が要求しているのは、最初の日本文と、模範的な英訳、そしてその後の3問題の解答をすべて暗記してしまうことです。
このシリーズの1巻から8巻までは、動詞、名詞、形容詞などにフォーカスした和文英訳が中心になっています。
各巻には、200問の例と、600問の練習問題がついています。
読むだけでも、英語というものの考え方がよくわかるのですが、実際に、ノートを用意して書いてみると、自分が、いかに「思い込み」に縛られていて、【英語として通じる英文】というものから離れてしまっているかがよくわかります。
「和文英訳」といいますが、単に文法的に正しい英文を創り出す、のではなく、与えられた和文が、伝えたい内容を、私たちの良く知っている英文を使って表現すること、を求められます。
最近では、特に後半の6~10巻を見ることが少なくなりました。
でも、ぜひ見かけたら、一度は手に取って眺めていただきたい、一冊です。
もうひとつ、松本先生の英作文の本で、重要な本があります。
「書く英語」という本です。
これは、「基礎編」「実用編」ともう一つ、「応用編」からできています。
「基礎編」は、本当にやさしい表現で書くことのできる、中学3年くらいの人から始められる英語の教科書です。
文法が、普通の教科書とはかなり違った形で紹介されています。
そして、その後、くどいほど、練習問題がついています。
一通り終えると、巻末に、やさしい文だけれど、なかなか書き終えることができない、大きな練習問題集がついています。
さらに「実用編」では、住所の書き方、紹介文、など、文字通り、実用的な文の書き方がついています。
この本では、多分、実務に必要な形の文の書き方で、1巻目の「基礎編」と比べると、かなり厳しい内容です。
「応用編」は、現在改版中のようですが、論文や、物語、といった、「英語を書くことを楽しむ」ための本で、これも「基礎編」とは比べ物にならない、高度なテキストです。
でも、いずれも、私たちが身に着けておかなくてはならない、英文の書き方とルールをまとめた本です。
この2種類のシリーズを活用していくことができれば、私たちの英語力は、短時間に、かなりのレベルまで上昇することは間違いありません。
私自身も、英作文が好きなので、大学入試や、実用英語の本によく目を通します。
そのなかでも、おそらく、非常に役に立つ本として、現在でも十分利用できる古典が、この2つだと思います。
みなさんも、もし本屋さんで松本亨先生の著書を見つけられたら、ぜひ手にとって、読んでみてください。
それだけの価値は十分にある本です。
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