英検1級2次試験の傾向の変化について

2020年第2回の英検1級2次試験では、従来の同試験に対して、傾向が変わってきたように思われます。

実際の問題は、次のようなものでした。(2021年度版 英検1級過去6回問題集より)

A日程

1.Should the government ultimately be responsible for the health of its citizens?

     (政府は最終的に国民の健康に責任を持つべきか)

2.   Agree or disagree: The militarization of space is a threat to future generations

      (賛成か反対か:宇宙の軍事化は未来の世代にとって脅威である)

3.  Will there ever be a need for Japan to revise its firearms law?

      (日本は銃刀法を見直す必要があるか)

4.  Are concerns about the safety of genetically modified food warranted?

      (遺伝子組み変え食品の安全性に対する疑念は当然か)

5.  Have humans done irreversible damage to the planet?

     (人類はこの惑星地球に対して取り返しのつかないダメージを与えてしまったか)

というものです。

  いままでの2次試験問題の形式は全く同じですが、2019年の「憲法は21世紀の現状にふさわしいものか」といったようなある意味では、タイムリー、ある意味では、時事性の強いトピックが、5問題いずれにも用いられています。

  たとえば、最初の問題である、「政府は国民の健康に責任を持つべきか」では、最近のコロナ問題がすぐ頭に浮かびます。

  健康、医療問題は、コロナ問題に伴って、注目度の高いものになっていますが、このあたり、かなり政治的な要素も含んだ出題と言えます。

  二つ目の宇宙の軍事化も、中国などの主張している、惑星などの植民地化を考えると、決して現実性の薄い問題ではないでしょう。むしろ南シナ海などで、その存在感を増している現実を考えると、それが、近い将来、宇宙という舞台に場所を移して、列強のあらそい、という19世紀から20世紀に見られた光景が、再現されるという考えもあるでしょう。

  だとすれば、これまた、政治的な問題です。

  3つ目のトピック、銃刀法についても、果たしてに日本はどのように身を守るべきなのか。現在の日常生活では、私たちが、銃で武装をする必要性は、全くと言ってよいほどありません。しかし、21世紀に入って、他国からの侵略を受ける、といったテーマの映画なども公開され、他国の良心に全面的に依存する、という日本の安全保障の在り方が、果たして現実的なものなのか、を考えると、憲法の問題を取り上げることになりそうです。

  4つめは遺伝子組み換え食品の問題で、これだけでは、大きな変化とは言えないけれど、今までも時々出題されていたものです。ただ、わたしたちが、よく感じる不安感は妥当なのか、という聞き方で、いままでより、もうすこし、ストレートになっているようです。

  最後の人類の地球に対するダメージ、というのも、遺伝子同様、出題の仕方そのものが、イエスという答えがでるだろうな、という形になっていて、批判的な文を書かせたいのだろうな、という出題者の意図が見えています。

  結構、批判的な内容の多い今回の出題ですが、問題集の模範解答を読んでも、やはり、そういった感じです。

  いずれにしても、今回の出題は、ある程度、解答者の立場が偏る可能性があるので、そのあたりを読み込んだうえで、どうこたえるのかが、問われるところになりそうです。

 

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