清成先生が、どのようにドリトル先生物語に親しむようになられたかについては、英光社の「ドリトル先生物語」の英語版のまえがきに書かれています。
抜粋します。
私が、この本を初めて手にしたのは、この本がPenguin 社のPuffin Books の一冊として、出版された、1967年のことであったが、一読して、私はすっかりDr. Dolittleの魅力に取りつかれた。長年、口腔で英語を教えてきた私には、高校生に手頃な読み物ということが、常に念頭にあったが、内容はもとより、用いられている英語の素直さから言っても、これほど高校生にふさわしい読み物は、少ないと思い、以来、そうした読み物を求められるごとに、この本を推薦してきた。いま、この本の注釈書を刊行するに当たり、私はできるだけ詳細な注を付けることにしたので、高校初年級程度の諸君にも、楽に原文で直接、Dr. Dolittle の魅力に触れることができると思う。わたし自身、この物語全12巻が、Puffin Books で刊行された1967ー70年の4年間、丸善や、紀伊国屋の書棚で、新しいDolittle 物語を発見するとすぐ手に入れ、読み終わるまでどこへ行くにも持ち歩いた楽しさを忘れない。
清成先生の注釈書は、1972年11月15日に発行されたと前書きに書かれています。
先生のDolittle 愛、というか、物語に対する愛情、愛好心がよくわかる文章だと思います。
わたしもまた、ドリトル先生物語を、子供時代に愛読し、さらに、教員になったあと、イギリスに行った折には、英語版の愛蔵版を何冊か購入して、繰り返し読みました。
そのころ、全巻をそろえることはできなかったのですが、いまでもかけた本を見つけるたびにペイパーバック版を買ってきました。
特に、第1巻にあたる、The Story of Doctor Dolittle は、読みやすい点、また、作者の初々しい気持ちが伝わってくる点などから、何回読んだか、わからないくらいです。
実は、この清成先生版だけではなく、丸善でたまたま発見した英語版も購入して、ぼろぼろになるほど読み込んだものでした。
このほかにも、英文を味わいながら、読んだ少年用の読み物には、このほか、ミルンの「クマのプーさん」「プー横丁に立った家」、サンテグジュペリの「星の王子様」などがあります。いずれも、繰り返し読んで、ページもよれよれ、破れてしまったところもあるほどですが、どれをとっても、少年時代の思い出を豊かにしてくれた本ばかりです。