ドリトル先生の旅行記

ドリトル先生物語の第2巻は、「ドリトル先生の旅行記」です。The Voyages of Doctor Dolittle というのが原題です。

この物語を初めて手に取った方は少し驚くかもしれません。というのは、1巻では、ドリトル先生と、動物語との出会い、そして、それにともなう、アフリカ旅行、という流れでした。

ところが、2巻の「旅行記」では、先生の助手になる、トーマス・スタビンズくんが登場します。

実は、ドリトル先生物語は、大きく二つの流れがあって、それは、簡単に言えば、スタビンズくんの登場以降と、以前、ということになります。

つまり、スタビンズくんの登場以前、というのは、より前の時代、以後は、時代的にはより後、ということになります。

ただ、作者のロフティング自身、厳密に、年代を考えて作っていたようではなかったようで、ちょこちょこ、内容としては、矛盾しているところがあったりします。

まあ、それはさておき。

パドルビーに住む少年、トーマスは、貧しい靴屋の子供で、当時の風習としてはよくあったことですが、学校へは通わず、家業の手伝いをしたり、のんびり、川の流れを見たりして暮らしておりました。

ところが、あるリスを見つけて、そのリスが、どうも足の具合が悪いようであることに気づきます。

家に連れて帰りますが、当然のことながら、どうやったら治療できるのかもわからず、なでたり、食料を与えたりして面倒を見ています。

近くの人から、ドリトル先生という、立派なお医者さんがいることを聞きます。

トムは、ドリトル先生のうちに出かけてみますが、留守のようです。

先生は、よく、旅行に出かけるようだ、という噂を耳にして、早く帰ってきて、リスを治療してほしいと考えています。

そこで、いつ帰るかわからない先生が、戻ってきたのかどうかを確かめるために、ちょくちょく、先生のところに様子を見に伺います。

時間はたつのですが、なかなか先生が戻られてきた様子はありません。

そんなある日、小さくて、太めのおじさんが、傘を広げて歩く姿を見つけます。

何だか不安定そうなおじさんなので、トムは、後をつけていきます。

すると、おじさんは、ドリトル先生の家とされるところに近づいていきます。

いつも、愛想のない、ドリトル先生宅の犬が、ドアから現れて、うれしそうに先生を招き入れます。

トムは思い切って、そのおじさんに、「あなたは、お医者のドリトル先生ですか」と尋ねます。

「そうです」という答えをもらって、喜びます。

先生は、「びしょ濡れになっているね。風邪をひいてしまうといけないから、中に入って、軽く何か食べていきなさい」と言ってくれます。

こうして、トム、つまりトーマス・スタビンズと、ドリトル先生は、親しくなったのでした。

また、「旅行記」については、お話しさせていただくつもりです。

では、また。

 

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