結構、熱心に視聴している番組に、NHKのEテレの「100分で名著」というものがあります。
これは、先日も、「源氏物語」のウェイリー訳の英語版を、さらに日本語に訳す、という結果、生まれた、独特の、詳しい説明の入った「源氏」を放送してくれました。とても興味深いもので、実際に読んでみたいと思いました。
そして、今月は、私にとっても愛読書の、「ドリトル先生航海記」が、名著に選ばれました。
これは、たいへん思い出の多い作品で、放送前からわくわくして、待っています。
私的な思い出から入ってしまいますが、子供のころ、身体が弱く、月1回、名古屋大学病院に通っていたことがあります。そのころ、午前中に病院に行くと、血液検査があったり、診察を受けたり、なかなか、つらいものがありました。そこで、両親ともについてきてくれてたのですが、お昼になって、栄で一緒に食事をすると、父と母は、用向きがあったようで、其々好きな場所に行き、わたしは、というと、当時、松坂屋という百貨店がありましたが、そこの本屋さんに、2時間、おいておかれました。
なんていうと、さみしかったのかな、と思われそうですが、そうではなく、私は、本が大好きだったので、そこで、気に入った本を探していたのです。
江戸川乱歩の少年探偵シリーズとか、モーリス・ルブランの怪盗ルパンシリーズ、そして、山中峯太郎の名探偵ホームズシリーズといった本を、そこで、おとなしく、熟読していたものです。
そんな2時間をすごしていたのですが、ある日、岩波書店の豪華版「ドリトル先生物語全集」の1冊を手に取りました。
そして、夢中になりました。
いぜん、航海記の冒頭については、このコラムでも書いたことがあります。
10歳の、靴屋の息子、トーマス・スタビンズくんは、イギリスの田舎町、パドルビーに住んでいました。
当時のイギリスでは、お金持ちの子供をのぞいて、学校へ行っていることも達は、とても少ないのです。
トーマスくんも、同じように、一家での仕事を手伝ったり、川などで船を見たりしていました。
そんなある日、彼は、けがをしたリスを見つけたのです。
なんとか、リスを助けてあげたいと思った彼は、家にリスを持ち帰ります。
餌をあげたり、水を飲ませたりしますが、けがについてはどうしていいのやらわかりません。
ときどき見かける、猫肉屋さん、(当時、ペットとして飼われている動物のための肉を売っている商売人)に、リスのことについて話してみます。
そうすると、同じこの町、パドルビーに、ドリトル先生という、そういうことの専門家がいる、と聞きます。
「その人は獣医さんなの?」
「いや、ナチュラリストという仕事をしている人だ」
「会えるかなあ?」
スタビンズくんは、猫肉屋さんから教えられた家に出かけてみますが、読んでも誰も出てきません。
留守のようです。
・・という具合に物語は進んでいきます。
さあ、どうなっていくのでしょうか?