はじめて松本亨先生の授業を受けるために上京した時、持っていった英和辞典を取り上げられて、開拓社の「新英英大辞典」を買うことを勧められました。
もちろん、それまで英英辞典を見たことも使ったこともなかったので、不安だったし、当然のことならが、レッスンの予習復習を英英辞典だけでする、というのは、何をどうしていいのかわからなくて、苦労しました。
でも、松本先生の言われたとおり、英英辞典だけを持ち歩いて、そればかり引いているうちに、すこしずつ、書かれている説明が分かるようになってきました。
最初に分かるようになったのは、ability という言葉で、いまだに、ability = the power to do things という定義も覚えています。
そして、不思議なことに、英英辞典を使っていると、なんとなく、英語のニュアンス、というか、どういう意味なのか、ということが少しずつ分かるようになってきました。
現在、私の手元には、何冊もの英英辞典があります。
いま、このコラムを書いている横にあるのは、Random House Webster’s Dictionary という、ペイパーバックの辞典で、たまたまジュンク堂で見かけて買ったものです。
ときどき、開いてみると、なかなか面白い「定義」が出てきます。
evolution という言葉があります。
これを引いてみることにします。
evolution = a process of formation or growth; development
change in the gene pool of a population from generation to generation by such processes as mutation and natural selection
the theory that all existing organisms developed from earlier forms by natural selection
というような形です。
それでは、英和辞典で、同じ単語を引いてみましょう。
①生物の進化 ②(事件、劇、議論などの)展開、進展、発展
先ほどの英英辞典と比べてみると、
a process of formation or growth というのは、形成されるプロセス、成長。
二つ目の change in the gene pool ~ は、変態(ミューテーション)や自然淘汰などのプロセスにより、ある生物集団が、世代から世代に、変化していくさまで、遺伝子集団の変化、ということになります。
最後の歯、あらゆる、現存する生物が、自然淘汰によって、初期の形態から発達する、という理論。
というわけで、英和だと、コンパクトな、熟語に要約されていて、その後には、例文が出てくる形であるのに対して、英英辞典は、より詳しく説明しているので、よく読むとわかりやすい。
ぜひ、英英辞典にも少しずつ親しんで、英語の考え方を学んでいきましょう。