英作文の傾向と対策

みなさんは、原仙作(はら・せんさく)という方の名前をご存じだろうか。

もし、あなたが、旺文社の出版している、英語関係の標準問題精講というシリーズに目を通されたことがあるのなら、あるいは原先生の名前をご覧になったことがあるだろう。

といっても、現在、書店で手に入る「英語長文問題精講」や、「和英標準問題精講」などで、実際に原先生がお書きになられたものはない。

じつは、原仙作先生は、最初に旺文社が「標準問題精講」シリーズを出版したとき、その参考書を書かれた方なのだ。

というより、原先生が参考書を出すにあたって、標準問題精講という名前を付けて、旺文社がその名前で、原先生の作品を出版したことに由来する。

現在、原先生の参考書は、それぞれ、若手の先生方に引き継がれて、今では、原先生の原著、新しい先生方の改訂というプロセスを経て、新しい参考書群になっている。

私は、たまたま、原先生のご存命のころ、先生の文章に接する機会があったため、手元にある参考書の一部には、原先生の息吹の感じられる文がついている。

今日のタイトルに選んだものも、ごく最近出された物であっても何ら不思議はないタイトルだけれど、実は、昭和40年の蛍雪時代という、受験雑誌(旺文社・刊)の付録からピックアップしたものです。

当時、文部省(いまの文部科学省、ですな)は、毎年、「入試問題作成の参考資料」なるものを作り、関係大学に配布していたらしい。

この資料の中で、「和文英訳の問題は、一般に難しすぎるように思われる。日本文の内容や、語句構文の複雑すぎるもの、余りにもこなれすぎた日本文などがある。出題にあたって、いろいろ苦心をした後の見える学校もあるが、なお一層の工夫が欲しい」なる文があるらしい。

その後9割程度の大学が、39年度よりも解答しやすい問題を出しているのである。

なのだそうである。

40年の問題は、内容からいっても、学生の書き慣れたテーマが多い、として、具体的に、

天候に関する問題、時間に関する問題、日常生活、手紙、旅行と交通に関する問題などが出題されていたらしい。

そこで、原先生の教訓が出てくる。

いわく、「問題がやさしくなれば、それに反比例して、採点が厳格になることは必定である。He go to school (正しくはgoes)と書いたり、Who do you think is he? (ただしくは、he is) と語順を間違ったりすると、大きく減点される」

と書かれており、この文の出典である、蛍雪時代の別冊付録である、英作文の参考書にもミスをしないよう、戒めている。

当然と言えば言えるかもしれないけれど、こうした一言、一言は、私たち、学習者にとっても非常に有効なものなので、「あたりまえのことだ」と高をくくってしまわないで、ぜひ、味わっていただければ、と思います。

 

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