英検1級の英語(1)

英検1級に出てくるような、わかりにくい文章を選んでみました。

これはタイム誌の2016年2月15日号にのった、書評で、「United States of Jihad」という本を扱ったものです。

まず、この英文を見ていただきましょう。

本の著者は、アメリカに対するテロ攻撃は、ないわけではないだろう。そして、もちろんその脅威もある。でも、そんなひどいことが起こる可能性は、極めて低い。

こう結論付けます。

Of 72 known plots, including a few of dubious inspiration, 56 were detected by law enforcement (44 with tips from Muslims).

文頭の of は、「~のうち」を表すもの。そこで、「知られている72のテロ計画のうち」
including からはその追加になります。dubious は「疑わしい」inspiration は「不安を起こさせるもの」つまり、「いくつかの疑わしいものも含めて」

56 は、56plots ですから、「56の計画は、警察によって察知された。(うち44は、イスラムからの通報によって)

となり、つづけて、

The death count from the few that succeeded narrowly trails the 48 people killed by right-wing extremists.

まず、問題になるのが、どこまでが主語か、ということです。

The death count from the few の次の that は、the few を先行詞とする関係代名詞だと考えられます。

つまり、上の72のテロ計画のうち、露見した56をのぞいた16が、the few である、ということです。(few に「2,3の」という具体的な数を表す意味はなく、「少しの、少数の」が正しい意味ですから、全体の72から見ると少ない16で成立するわけです)

そこで、次に考えなくてはならないのは、narrowly が、succeeded にかかるのか、trails を修飾しているのか、という問題です。

narrowly には、「かろうじて」という意味があり、副詞ですから、どちらの可能性も否定はできないところ。

「かろうじて成功したテロ計画」なのか「かろうじてtrailした」のか。

そこで trail を調べてみると、「後れを取る」という意味が出てきます。

narrowly trails で、後に続くものに比べて「少し足らない」のだ、と考えると、つじつまが合いそうです。

そこで、残りをみていくと、

…narrowly trails the 48 people killed by right-wing extremists.
「かろうじて、極右勢力により殺害された48人に及ばない」となり、47人くらいが殺されたのかな。

したがって、The death count … extremists. は、

「成功したテロ計画による死亡者数は、極右勢力により殺害された48人にわずかに及ばない程度である」

となり、「たしかにテロはあるし、テロの恐怖もある。しかし、全米で48人に満たないとすれば、そこまで恐れる必要はない」という論旨と呼応することになります。

すくなくとも、学習段階では、ここまでこだわった学習が必要で、そのためには、文法を十分におさらいしておく必要があるだけでなく、文中で、どういう使われ方をするのか、を見分ける目を持つことを心掛けなくてはなりません。

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