和文英訳「お父さん、ごめん」(2)

NHK「実践ビジネス英語」2008年6月号ラーターズ・ワークショップから。

さて、「お父さん、ごめん」の第2回です。

(問題2段落)
「いいんだよ、いいんだよ。」こんなときのためにお父さんがいるんだから。ドーンと頼ってくれていい。お父さんはこれでも案外キミの役に立つんだぞ、と言いたかったけど、言えなかったよ」と友人は笑う。そりゃあ、言えないだろう。だが、同じ子を持つ父親として、時に子供たちに背を向けて仕事にのめり込んできた同じ仕事人間として、彼の気持ちはすごくよくわかる気がした。

ここはできるだけ素直に訳すことにしました。

“Don’t worry. Trust me. I stand by you, especially on such an occasion when you have a hard time. I’ll do whatever I can do.” He wished to say this way but couldn’t. No wonder. As a workaholic father regretting he had not devoted himself sufficiently to his family, I fully understand what he meant.

ネイティブ・チェックは次の通りでした。

3文め。I stand をI’ll stand…に。on such an occasion を削除。when … が時、条件を表す副詞節になるので、未来のことでも現在形。それに対してI stand の方は、未来形へと変更。
4文め。末尾do を削除。これは、主節I’ll do ですでに使っているため、余分な繰り返しは省くという英語の性質によるものだ。文法的には特殊構文の省略。
次の第5文の冒頭をHe wished to say this wayから…is what he wished to say と直して、but couldn’t. をつけて完了。

これで、文のそれぞれの語の関係がわかりやすくなります。

それでは、出来上がった分を見てみましょう。

“Don’t worry. Trust me. I’ll stand by you, especially when you have a hard time. I’ll do whatever I can.” is what he wished do say, but couldn’t. No wonder. As a workaholic father regretting he had not devoted himself sufficiently to his family, I fully understand what he meant.

これで、全体が一気にまとまりました。
せりふを一つにまとめてしまったのはよかったかな、と思っています。 

昨今、不況が続く中、就職できない大学生の数が増えています。
この間のニュースでは、ほぼ6割の学生しか仕事を見つけることができなくて、残りの4割は、無業者として卒業しなくてはならない、と報じていました。
新卒ですら、その状況なのですから、転職組が苦労しているのは簡単に想像がつきます。

そんな中で、人生は、やり直しがきくのだ、と説く、この作文自体が、とても励ましになるものだと思います。

ちなみに、「実践ビジネス英語」テキストによると、この文章の出典は、「週刊ダイヤモンド」2008年3月22日号だそうです。

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