リスニング指導の難しさ3

リスニング指導の難しさ3

1でのべた、リスニングの例文です。

I thought you had bought the bag the day before.という文の、you had の部分の聞き取りについて、でした。

2つの聞き取り方をご紹介しました。

ひとつは文法的な知識を応用して、I thought なのに、そのあとが you bought the bag the day before.と続くのはおかしい、と考えて、you の後ろにhad を補う、考え方。

これを、仮に「文法準拠型リスニング」と名付けましょう。

もうひとつは、you’d の呼吸の流れ、あるいは、呼吸の流れの中断、を聞き取ること。

つまり、’d の発音は、それまでyouとして出されていた呼気を、舌を上の歯の後ろに置くことで中断し、その後すばやく唇を閉じることで、boughtの発音に移っていく。

この「音連結」を聞き取る方法です。

「文法準拠型」の場合には、瞬間的に、正確な文法知識が出てくることができれば、いいかえると、正確な文法に基づく英文をある程度以上知っていれば、判断できます。

ただ、このためには、文法知識が、日本語による説明的なものとして定着しているだけではなく、(定着していなくてもよいです)英語の例文として、記憶されていることが必須です。

音声を通じて、英文を暗記、暗誦する必要はここにあります。

もちろん、このときの音声が、いい加減な発音に基づくものだと、暗誦された英文も生かすことができない、ということになります。

長年、エブリで説いている、「できるだけ原文と同じスピード、発音、リズムで言語音を再生する」音読の意義はここにあります。

「原文と同じスピード」
原文を何度も繰り返して聞くことで、身体の中に、音を定着させることが大切です。

その音声を、繰り返して再現できるようにする。

実は、この作業が、「音連結」の作業と重なってきます。(この項、つづく)

コメントは受け付けていません。