シャーロック・ホームズのすすめ

シャーロック・ホームズのすすめ

わたしは、コナン・ドイルの生み出した名探偵、シャーロック・ホームズのファンでもあります。

ときどき英文のホームズ全集を手に取るのですが、ある物語にこんな一節がみられます。

朝、親友のワトソンが寝ていると、ホームズが次のように声をかけます。

“Very sorry to knock you up, Watson,” said he, “but it’s the common lot this morning. Mrs. Hudson has been knocked up, she retorted upon me, and I on you.”

「起こして済まない、ワトソン」と彼は言った。「でもこれは今朝のcommon lot なんだ。ハドソン夫人(ホームズとワトソンの住んでいる部屋の家主さん)が起こされて、彼女はぼくにあたり、僕が君に、というわけなんだ」

さて、訳文中にでてくる common lot が問題なんです。

lotといえば、思い出すのが a lot of 「たくさんの」ということば。

でも、ここでは、それではぴったり来ないようです。

それでは・・・?

ジーニアス英和辞典を引いてみると、lot の名詞には、いくつか意味があります。

1.くじ 2.運命、めぐりあわせ 3.土地の一区画 4.分け前 5.一山、群れ、連中

6.~なやつ 7.全部、何もかも 8.たくさんのこと、もの

さて、ここでの考え方ですが、どうもこの状況の中に見られるのは、一種の「連鎖」のようですね。

つまり、ハドソンさんが起こされて、ホームズを起こし、そのホームズがワトソンを起こす。

ここから考えてみると、この lot というのは、5か、7あたりがぴったりくるようです。

つまり common lot で、「みんなおんなじ状況なんだ」とか訳してみるとぴったりくるのかもしれません。

ホームズ物語は、今から100年以上前に書かれていますので、ちょっと聞きなれない語法が出てきたりします。

でも、英文全体としては、読みやすくて、格調の高い良質な文で書かれています。

「シャーロック」というドラマシリーズがヒットしているおかげもあって、活字の大きなシリーズも出版されています。

ぜひチャレンジしてみましょう!

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