夢をデータ化して、後で医療機関による検証が行うことのできるようになった時代。
古藤結衣子は、この時代、唯一、予知夢を見ることができる、と認定された人物だった。
古藤が事故で亡くなって以来、浩章は、仕事で夢のデータである「夢札」の読みとりをおこなっている。
すると、仕事の依頼がある。
ある小学校で、集団白昼夢のような現象が起こっている。
その子どもたちの夢を分析してほしい、というものだ。
久しぶりに読んだサスペンスで、ゴールデン・ウィークに一日かけて一気読みをしてしまいました。
その後、似たような設定のコミックがある、という話を耳にしましたが、それは抜きにして、とても楽しむことができました。
果たして、今起こっているのは現実なのか、悪夢なのか、その狭間があいまいになっているところが、こわいですね。
実際に、恐怖を感じさせるような描写やシーンは全くないのですが、全体の雰囲気がなんともいえない恐ろしさを醸し出しています。
前半は、非常に緊迫感があり、浩章といっしょに仕事をおこなう鎌田や、警察関係者の岩清水も、謎を秘めていて、とてもよい流れになっています。
後半が、少し話を広げすぎて、収拾に手を焼いたのかな、という感じが付きまとうのは残念でした。
おそらく、結末に納得のいかない部分があるからだと思います。
それでも、500ページ近い物語を一気読みさせる筆力はすごいものだと感心しました。たぶん文庫本なら、上下2巻になるところだと思います。
読むほうは一気ですが、書く方は毎日2-3枚(新聞連載)なので、その分、メリハリがあって読みやすくなっているのだと感じました。