「○○さんはどちらに留学されていたのですか」
英語の仕事をされているSさんは、いつもこう聞かれる、とこぼされます。
英語の仕事をするのに、海外経験があるのは当たり前、逆になければ力があるのか疑われてしまう、とおっしゃいます。
たしかに、日本で頑張って勉強されて、英検1級にも合格され、現在はお仕事で英語を使っているSさんにとって、こうした質問は不愉快でしかないのです。
英語を勉強される方がこれほどたくさんいらっしゃって、教材や学校も山ほどある。
こうした恵まれた環境にあって、まだ「海外留学」絶対視が強固にのこっているのは不思議ですらあります。
また海外に行けば、まるで魔法の様に英語ができるようになる、という「都市伝説」もしっかり根をおろしています。
以前、耳にしたことですが、ニューヨークにある日本系の書店で、売れ筋は「ラジオ英会話」のテキストで、年度はじめの4月号は山積みでよく売れるのに、5月、6月と時間がたつにつれて売れ行きが落ちて行ってしまうそうです。
しかも、お客さんの中には、「数年間、こちらにいるけれど、友達は日本人ばかりで、話すのも日本語ばかり。英語ができないので、日本にも帰れない」というまさに留学難民のような人も、結構多い、ということでした。
その信ぴょう性はともかく、ある程度、自前の努力なしでは、なかなか技術としての英語は身についてくれないもののようです。