「上善如水」(じょうぜんみずのごとし)という言葉があります。
手元にある「マンガ老荘の思想」(講談社+α文庫)によると、
「徳のある人はまるで『水』のようである。
水には3つの特性がある。
第一に水は万物を育て養う。
第二に水の性質は柔くて弱い。自然に従い争うことはない。
第三に水は人々の嫌がる低いところへ流れる。水は低いところへ流れ、徳のある人は人の下に甘んずる」
このことばは、「老子」の一節だそうです。
水曜日の夜11時から25分間放送される「100分de名著」は、4回がワンセットになって、一つの古典を読み解く番組です。
5月は中国古典の「老子」でした。
老子は楚で公務員だったらしいのですが、楚が政治的に不安定になると、国を出て、ある関門に通りかかったそうです。このとき、関門の担当官だった人物が老子の弟子だったらしい。去ってしまうなら、先生の教えを書き私に残してください、ということで、5,000字ほどの文章を書いて、姿を消してしまったとのことです。
これが、「老子」の原文とされます。
融通無碍、というか、とらえどころのない、楽な生き方のすすめです。l
聞いていくと、「逆転の発想」というか、ゲストの方が言っていたように「バカボンのパパ」的な発想のある本だとわかりました。
たとえば、「こだわらない」ということについて、むずかしい言い回しも使いつつ書かれているのですが、ゲストのドリアン助川氏(詩人)によれば、「これでいいのだ!」というあの名文句になる、といいます。
さきほどの「上善水のごとし」もそうですが、こだわらず、飄々としたい着方を勧める「老子」のあり方は、ああしなくては、こうあらねば、と規範の多い現代にはまれな、おもしろいあり方だと思います。
こんな風な気持ちで英語に取り組めば、少し気が楽になるかもしれません。