昨年から、英検の準1級に、あたらしい傾向が導入されました。
3段落程度の英文を読み、重要な部分をまとめるというサマリーという方法です。
私たちは、余りこうした練習をしたことがなく、実際にやってみるととても難しく感じることが多いです。
実際には、慣れてくるとそんなに大変でもないのですが、実際に、なかなか繰り返して勉強することができないので、難しく感じることが多いのでしょう。
お薦めする方法としては、ご自分のレベルより、少しやさしめの英語の問題集を用意していただく。
やさしめ、というと、英検で言えば2級あたりがいいでしょう。
3パラグラフくらいでできている文章題を選んで、ざっと読み、どんな話なのか、説明している文章を拾い出します。
できるだけ、余分な話は抜いて、取り上げているトピックだけに集中したところだけ、抜書きします。
私たちは、ついつい、詳しく説明しようとしてしまいます。
でも、そんなに気を使わないで、中心になる話だけに注目しましょう。
なにしろ、課題としては、3段落の物語に対して、70語くらいで説明しなくてはなりません。
案外大変です。
たとえば、ある人物のお話だとします。
以前、ロアルド・ダールという作家の話が出ました。
当時、要約の問題はなかったので、まとめることが要求されたわけではなかったのですが、こんな感じでした。
ロアルド・ダールはとても才能のある人でした。
音楽も、色んな楽器を演奏できたし、運動もうまかった。それでも、学校では人づきあいがうまくなくて、学校の先生とか、友達とかには、散々からかわれたりして、嫌な思いもしました。
大人になってダールは作家になりました。
少年向けの小説をたくさん書きました。
彼の小説は、映画にもなり、たいへんヒットしました。
ダールは、学校に行くことが、時として子供にとってはとてもつらいこともわかっていました。
いじめられることが、どれだけいやなことかも知っていました。
だから、嫌味な先生とか、悪ふざけをしてくるクラスメートたちを描写して、そうした人たちを、スカッとする方法でやっつけるような話を書きました。
たとえば、「チャーリーとチョコレート工場」という小説があります。
このお話では、チャーリーという少年が、運よく懸賞に当たり、チョコレート工場の見学に行けることになります。
でも、一緒に工場見学をすることになった子供たちは、たとえば、お金持ちであることや、お金や父親の地位を利用して、何でも手に入れられると思っている少女とか、腕力にものを言わせて、他の子たちに、優ことを聞かせてやろうと考えている腕白坊主とかがいます。
工場内の、さまざまな場所を見学していく中で、中で働いている人たちをいじめたり、欲しいものが手に入らなくて、嫌がらせをしてくるような子供たちは、チョコレート工場に行るユニークなキャラクターに散々からかわれて、最後には工場から追い出されてしまいます。
チョコレートに使うカカオ豆を選別するリスたちがいます。
例の少女は、そのリスたちを、自分の持ち物にしたいと考えます。
早速父親に、リスたちを買ってくれ、と求めます。
父親は、チョコレート工場の社長に交渉しようとします。
ところが、このことを知ったリスたちは、仕事の邪魔をしてくる少女を、転がして、豆をぶつけ、最後には、工場からゴミのラインを通って、外に放り出してしまいます。
さて、このお話をどうまとめるのか。
リスの話や、いたずらっ子の話はおもしろいのですけれども、それを詳しく書いてしまうと、逆にロアルド・ダールの人生が分からなくなってしまいます。
ですから、ここでは、ダールの人生にポイントを向けて、ダールが子供のころからどういう目にあって、作品にどんなシーンを入れるようにしたか、その結果、読者に好かれた、という点を生かせば、生き生きとした、作品になると思います。
なお、この作品は、大きな本屋さんで見つけることができますよ。
ちなみに、ダールには、「マチルダ」という作品もあって、これはボクシングをするカンガルーの話です。
これも見つけたらぜひ読んでみてください。