実際に、松本先生のすごさが分かったのは、高校1年のころでした。
夏休みに、ある書店で、先生の「書く英語」という本がありました。
全部で3冊のシリーズになったこの本は、1巻目の「基礎編」では、中学卒業程度の学力を前提としています、といいつつ、「My name is Naoto Taguchi.」とか、「I have a pen.」程度の英文から始まって、まあ、日常的なことならたいてい言える、というレベルまで持っていく本です。
もっとも、巻末についている、大量の練習問題は、かなりレベルの高いものも多く、とても独習レベルで回答が出せるものではないものもかなりありました。
すごいのは、2巻の「実用編」と3巻の「応用編」です。
現在、1巻と2巻のみ、改訂版が出ていますが、2巻は、例えば、教師が、留学する自分の生徒のために書く推薦状の書き方であったり、あるいは、企業でのやり取りで合ったり、そのほか、まさに「実用」的なものの書き方です。
始めのうちは、まじめに取り組んでいましたが、途中から(それもかなり早い時期から)とても太刀打ちできるようなものではなくなりました。
3巻の「応用編」では、英訳から、英作文、論文の書き方まで進むという、とんでもない本で、最終的に3巻揃えましたが、通読したに過ぎない状況で、その後、実際に仕事で必要になった場合にところどころ参考にするといった利用の仕方にとどまっています。
いずれにせよ、この中で推奨されているのが、やはり音読・暗誦で、繰り返し、出てきた文章を音読して、最終的には覚えてしまうこと、というのが、松本先生の学習法でした。
松本先生ご自身も長年にわたり留学されていますが、実際には、アメリカに行く前からすでに英語の達人であり、1目も2目もおかれた存在であった、というのは、最近出版された、研究書「松本亨と英語で考える」に記されているところです。