英語が話せないのはなぜ?④
中学校に上がる前、屋根裏部屋を探検していたら、おもしろそうなものが見つかりました。
リンガフォンという、英語教材です。
レコードが25枚入っていて、あとテキストと練習問題集、説明書がついていました。
これは、父が英会話を学ぼうとした時期があって、その練習用に購入したものらしい。
レコードプレーヤーも一緒にあったので、コンセントをつないで聞いてみました。
ものすごくクリアーなネィティブの英語で、
Hello! I am Mr. Black. Look at the picture. This is my family. I am Mr. Black. This is Mrs. Black. She is my wife. This is Miss Black. My daughter. …
といったやさしい英語のレッスンが入っていました。
テキストと問題集はあったのですが、日本語で、内容を説明してある(はずの)訳の本がみあたらず、意味はあまりよくわからないまま、ほとんど毎日、屋根裏に上がってレコードを聴いていたものでした。
このおかげで、いまだに、頭の中で、あの時に聞いていた、”This is Mr.Black.”が鮮明に残っています。
最近読んだタイムの記事に、大人はなぜ、子供に比べて言語学習能力が低いのか、ということへの説明が書いてありました。
理由は、「あせるから」
たしかに、私たちは、英文を手にすると、がんばって速く覚えてしまおう、とします。
でも、考えてみると、無理やり覚えてしまった英語は、すぐに忘れてしまいます。
そういう邪念を持たずに取り組んだリンガフォンは、ワンレッスンが短いせいもあり、また飽きることなく聞き続けたせいもあり、いまだに頭の中によみがえってくるのです。
たぶん、英語が話せない1つの理由は、こうした体の中に取り込まれた英語が少ないせいもあるかもしれません。