英語が話せないのはなぜ?③
松本亨先生がよくおっしゃっていたのは、英英辞典を引きなさい、ということでした。
初めてお会いした時に、どういう風にしたら、英英辞典を引く習慣が身につくのか、尋ねました。
「持っているほかの英語の辞典は捨ててしまいなさい」
これは大変です!
今でこそ、大きな本屋さんに出かければ、洋書のコーナーにやさしい英英辞典が並んでいます。
当時は、英英辞典と言えば、オックスフォードのPOD(ポケット・オックスフォード・ディクショナリ)か、開拓社から出されていた「新英英大辞典」くらいしかありませんでした。
PODは、後でわかったことですが、親版であるOED(オックスフォード・イングリッシュ・ディクショナリ)の縮約版であり、初心者の利用など、全く考えていない(こともなかったでしょうが、始めの説明を読んでも、なにがなんだかさっぱりわからない!)辞典でした。
これに対して、「新英英大辞典」は、なまえは「大」でも、実際には文庫本くらいの大きさの辞典で、前書きには、著者のホーンビィ先生は、日本で教鞭をとられた先生で、「日本人のために作られた辞典」と書かれてありました。
これは、一生懸命愛読しましたが、なかなか身になるところまではいかず、高校卒業前に、火事が起きて、焼けてしまいました。
その後、松本先生ご自身も、ジュニア英英辞典という、中学生向けの英英辞典(!)をジャパンタイムズから出版されますが、残念ながら、あまり世の中では話題にならずに終わってしまいました。
ただ、この辞典を熟読したことで、「どうやれば、英語で英語を説明できるのか」が少しずつ分かってきました。
また、似たような意味のいくつかの項目を熟読すると、どういう意味の違いがあるのかが分かってきます。
その後、いくつも英英辞典を買って、使っていくことになりますが、この時の経験のおかげで、わたしのとっては英英辞典は、とてもよい相棒のような気がしています。