音読の指導をさせていただくと、思いがけない音が、発音しにくいことが分かります。
代表例が複数形や3人称単数の s です。
たとえば、residents というべきところを resident と単数にしてしまう方がとても多くいらっしゃいます。
これには、二つの問題があるようです。
ひとつは、音自体の性質の違い。
単数形 resident の場合には、末尾t 音は、軽く上の歯茎の後ろに舌先が当たるだけで、音自体も、聞こえないことがあるほどで、軽い。
複数形 residents では、さいごの ts は息がぶつかり合う感じで、けっこう強い音です。
この軽さと重さのコントラストを、わたしたち自身は意識していないようです。
ほとんどの方が、単数形の軽い言い方をしてしまっています。
まずいのは、この間違いについて、自分では問題だと思っていないこと。
ほとんどの方が、このことを注意されると驚かれます。
ふたつめが、どうしてこの違いに気づかないのか、という問題です。
おそらく、英語ということばでは、単数か複数か、という問題は重要なことです。
もともと狩猟民族であった彼らにとって、獲物が1匹か2匹以上かは大きな意味がありました。
したがって、聞いていても判別しやすい音の違いがあるのだと思います。
わたしたちは、その点にはあまりこだわりませんから、ついつい力が入らないということになるのでしょう。
ただ、実際にネイティブの方に伺ってみると、こうした違いはかなり気になるようです。
単数、複数の違いに着目することで、スピーキングやライティングの場合にも活かすことができると思います。
音読の練習をすることで、こうしたところまで、心が行きとどく、というのも、大変重要なことです。