スピーディな音読の意味(3)

少しお年を召した英語学習者の方の中には、国弘正雄先生の名前を懐かしく思い出される方もいらっしゃるでしょう。

国弘先生は、以前、NHK教育テレビで、「テレビ英語会話中級」を担当されていた同時通訳者の草分けです。
アポロ月面着陸の同時通訳をされて一躍時の人になられました。
その後、参議院に出馬されて政治の世界に転身され、現在は悠々自適の生活をされていらっしゃるようです。
この方の著作にベストセラーとなった「英語の話しかた」があります。

その中に「只管朗読」(ただひたすら朗読)という学習法が出てきます。

これは、まさに何度も何度も繰り返し英文を読む、という私たちが今主張させていただいている方法です。

私も実際に英語を学ぶ人間として、音読を何度も行って、表現を身に付けてきました。

地道に暗誦して、英語を自分の中に入れていく作業をどこかで行わない限り、英語力は身につくものではない、と実感しています。

何らかの形で、英語というストックが頭の中にある程度できなければ、状況に合わせて表現を口にすることはできません。

国弘先生は「英会話・ぜったい・音読」の監修者でもあり、その冒頭に、なぜ暗誦が大切なのかをわかりやすくまとめてくださっています。

私もさまざまなレベルの学習者の方にお会いして、指導をさせていただくことが多いのですが、こうした場合に強く感じるのは、正確に英文を暗記することの重要さです。

しかも、ある程度まとまった英文であれば、それは記憶によって芋づる式に大量の文を頭の中から引き出すことが可能です。

現在、英検指導などで英作文も扱いますが、これも正しい英文記憶の蓄積がなければなかなか書けるものではありません。

だまされたと思ってぜひ挑戦していただきたいのが、この只管朗読なのです。

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