ホームズ、復活!

送られてくる通信販売のカタログでも、ほぼ確実に載っているジェレミー・ブレッドの「名探偵ホームズの冒険」のテレビ・シリーズのDVDボックス。
この中でも好きな話が「空家の冒険」です。
さきごろ、この作品のDVDを見直して、こまかな部分の記憶がよみがえりました。

これは、原作ではThe Return of Sherlock Holmes (シャーロック・ホームズの生還)の最初の話です。
作者コナン・ドイルが、ホームズの雑誌連載につかれてしまい、宿敵モリアーティ教授とともにライヘンバッハの滝にほうむってしまった後、復活第1作がこれです。
ホームズの第2短篇集「回想」の「最後の事件」が雑誌「ストランド」誌に掲載されたのが、1893年12月号、そしてこの「空家の冒険」が載るのが1903年10月号らしい(光文社文庫「解説」より)。

現実の世界では、前回の活躍から10年の月日がたっていますが、作中では3年ほどしかたっていない、という設定になっています。

ワトソン博士は、ホームズが亡くなったあと、じぶんの診療所を構えていて、スコットランド・ヤードとの人脈を生かし、検死の仕事など請け負っています。

若き貴族のロナルド・アデア卿が自宅の密室で亡くなっていたことで、検死審問に呼び出される博士。
その帰りしな、老人とぶつかって、彼の持っていた古本の束を落としてしまいます。

その老人が、その後ワトソン博士を訪ねてやってきます。
老人の「その書棚の空いているところにこの本を入れるとうまく隙間が埋まる」という発言に、書棚を見て、それからふりかえると…

このあたりのやり取りは、原作でもわくわくするところですし、DVD版でもなかなか微笑ましいところです。
DVD版では、「空家」からワトソンを演じている俳優が変わるので、不自然さが残るかと思っていましたが、そういうこともまったくなくて、見事な演出でした。

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