まだらの紐

シャーロック・ホームズの活躍する話の中でも、一般の人たちの間では、1,2を争う傑作として名高いのがこの「まだらの紐」。

ある日の朝早く、ホームズのもとをたずねてきた若い娘。

彼女は、父、姉と同じ家に住んでいるが、父親というのはかなり変わった人物で、以前は未開の国にいて、医者として活躍していた。
のちに彼女たちの母と結婚、イギリスに住むようになった。
ところが、母が亡くなると、獰猛な獣を飼うようになり、またジプシーが家の近くに訪れるようになる。

やがて、婚約のまとまった姉が、変死を遂げる。

姉が彼女に語ったところによると、深夜、口笛のような音が聞こえて、シュッシュッという音、それにつづいて、バタンと扉の閉じる音がした、という。

そして、その数日後、姉は「まだらの紐」という謎の言葉を残して死んでしまう。
駆け付けたホームズが見出した真相とは…?

わたしがはじめてホームズ物語を読んだのも、この作品でした。
少年向けの傑作選で、ほかに「赤毛連盟」「唇のねじれた男」など入っていました。

じつは、マニアの間ではこの作品の評価はあまり高くないそうです。

それは、姉の死の真相がリアルでないということだそうです。

凶器として用いられたある生き物の実際の生態と、この物語に描かれたものとは大きく違っていて、ほんとうに「おはなし」になってしまっているかららしい。

でも、純粋にファンとして楽しむのであれば、この思いがけない真相は、物語自体としてはつじつまもあっていて、たいへん驚かされるもの。
ぜひ、一度は読んでおきたいお勧めの作品です。

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