「バスカービル家の犬」

シャーロック・ホームズものには4本の長編がありますが、おそらくその中で一番評価が高いのが「バスカービル家の犬」だと思います。

冒頭に、忘れられた杖の持ち主について、ホームズがワトソンの推理を打ち消していき、最後には持ち主自身が登場する、ユーモアあふれるエピソードがおかれます。
ただ、お話自体は、怪奇的要素の詰まった、サスペンスフルな物語です。

湿地帯の中に立つバスカービル家。
当主は、門のところで、謎の犬に襲われて落命。
新しく引き継ぐことになった、若い後継者と親しい、医師が今回の依頼人です。

もともとバスカービル家と、「謎の犬」とはかかわりが深く、先祖である人物は、女中を襲おうとして、怪しい犬と争って命を落とします。

そして今、新たなる領主が到着した時から、謎の犬との対決が幕を開けます。

仕事でロンドンを離れることのできないホームズの代わりにワトソン博士が、若い新領主に付き添うのですが、何となく胡散臭い執事夫妻、湿地帯をあちこち動き回る博物学者、そして美しいその妹、などなど、一癖ありげなキャラクターが登場します。

現在の推理小説を読みなれた私たちの目から見ると、ある程度、真相が透けて見える部分がありますが、コナン・ドイルは、なかなか巧みな演出で、物語を進めていきます。

特に終盤、待望のホームズが登場し、謎を解く場面は圧巻です。

久しぶりに、レンタル・ビデオショップで、昔の映画版シャーロックホームズを借りてみて、懐かしく、はじめて読んだころを思い出しました。

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