原稿用紙10枚を書く力

著作の多い斎藤孝さんの書かれた本です。(大和書房)

この本で感心したことは3つあります。

ひとつは「価値を下げる文は書かない」。
よくインターネットなどを見ていると、質問した人を馬鹿にするような文章が載っていたりします。
斎藤先生は、こうした文章は書くべきではない、とおっしゃいます。
たしかに、わたしが読んでいても、とても不愉快に感じられる文章もあり、すごくやる気がなくなってしまうことが多い。
特に、批判と個人攻撃とは違うので、頭から「馬鹿じゃないのか」というスタンスで書かれると、読み手としては非常につらいものがあります。
意見としておかしい、というのであれば、それを批判して、その根拠を明らかにしてもらいたいと思います。

次に、文を書く時には「起承転結」の「転」を考える、というもの。
これは、自分でも注意しなくてはいけないと思います。
読んでくださった方が、すこしでも参考になった、と思っていただけるような文章を書くためには、「へえ!」と思う部分が必ず必要である、ということです。

最後に、自分のポジションが文体である、ということ。
一人称は、自分が見ているもの、自分がそこにいる場所しか描写できません。
それに対して、三人称というのは、いわば「神の視点」ですから、必要だと思うことをすべて記述することができます。

斎藤先生ご自身が、実践されてきている方法ということで、読んでいても、非常にわかりやすい。
たくさん本を書かれている方は、読みやすい文章の書き方を心得ていらっしゃるものですが、それを専門にされているので、とても興味が持てました。

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