「まだらの紐」から④
早朝から、助けを求めてホームズのもとにやってきた若い女性ストーナー嬢。この義理の父であるロイロット博士の不審な行動、そして彼女も博士の標的になっている可能性があることにきづいたホームズは、「いそいで彼女の自宅に出かけなくてはならない」とワトソンに告げます。
And now, Watson, this is too serious for dawdling.
「さあ、ワトソン。これはぐずぐずしている暇はない」
dawdle とは、to take a long time to do something or go somewhere つまり「何かをしたり、どこかへ行くのに、長い時間をかけること」の意味です。
serious はもちろん「深刻な」といういみでいいですね。
ですから直訳すれば、「ぐずぐずしているにはあまりに深刻だ」ということになりますか。
そして、さらに、おそるべきロイロット博士との対決もありそうですので、
I should be very much obliged if you would slip your revolver into your pocket.
oblige は、「義務付ける」「余儀なくさせる」とか「恩恵を施す」「喜ばす」という意味があります。
ここでは、if があることから、「~してくれれば、うれしい、感謝する」という感じでしょうか。
したがって、「もし君がポケットにレボルバー(拳銃)をすべり込ませていってくれれば感謝する」
つまり、ワトソンに、「銃を持っていってくれ」といっているわけです。
ちなみに、ホームズシリーズ全編をつうじて、ワトソンに銃の携帯を頼むシーンはいくつかあって、どうも、ホームズよりもワトソンの方が、射撃は上手だった可能性もあります。
長編の傑作、「バスカーヴィル家の犬」でも、ワトソンは銃をもって、謎の怪物犬の襲撃に備えます。